応援団で、筆者が特に気になるのは、吹奏楽部だ。数年前、野球でも吹奏楽でも名が通ったある私学の吹奏楽顧問に「甲子園での演奏は晴れ舞台ですね」と言うと、顧問は目を丸くして「とんでもない!」と言った。
吹奏楽部有名校にとって、最大の目標は「吹奏楽コンクール」であって、そのために日夜練習を積んでいる。甲子園は確かに大きなイベントだが、課題曲ではなく応援の曲目を別途練習しなければならないし、重たいチューバの代わりにマーチングバンドで使用する軽量のスーザホンを用意するなど、応援仕様の準備も必要になる。
部員が多い吹奏楽部では甲子園出場が決まると「甲子園組」と「コンクール組」に分けることもあるという。夏は熱中症のリスクもあるし、「甲子園出場が決まると大変だ」という。
ブラスバンドの交通費、滞在費は学校持ち
一方で、吹奏楽部がない学校や、あっても貧弱な学校では、何とか「格好をつける」ために、甲子園出場が決まると他の高校や地元の社会人、大学のマーチングバンドなどに「応援演奏」を依頼することになる。ありていに言えば「選手たちに甲子園で恥をかかせるわけにはいかない」というところだろう。
甲子園が始まるとそうした「友情応援」が麗しい話題として取り上げられるが、当然ながらこうしたブラスバンドの交通費、滞在費は全部学校持ちになる。中には遠隔地の学校が、兵庫県など近隣の学校に「友情応援」を依頼することがあるが、経費の問題もあるのだろう。
筆者は昭和の時代から、春と夏の甲子園に通っているが、甲子園で吹奏楽部の応援がない学校はほとんどない。その規模は年々大きくなり、立派な演奏をするようになっている。今年の春の甲子園では鹿児島の神村学園の応援演奏は音が分厚く、素晴らしかった。
この学校の吹奏楽部は全国大会の常連で、テレビでも何度も取り上げられている。春の甲子園では1998年から「応援団賞」を設けて、素晴らしい応援をした学校を表彰している。それもあって、各校は野球だけでなく、応援にも力を入れているのだが、それは「費用負担の増大」につながりかねない。
こうした「応援の過熱」は、「商業主義」を排除し「質実剛健」を旨とする高校野球にはふさわしくないのではないかと思う。どこか気骨のある学校が、甲子園初出場に際して「わが校には吹奏楽部はありません。でも声と手拍子で一生懸命応援します」みたいな宣言をしてもいいのではないか。そうした華美に走らない素朴な応援も、甲子園では深く心に刻まれると思うが。
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