暮らしはギリギリでも、譲れないこと
センスが詰まったYouTubeの動画は、1本作るのに撮影だけで2〜3日かかるという。コーディネートを組んで着替えて撮影し、動画で確認しては「ソックスの色が違う」とやり直す。
着たり脱いだりの繰り返しで、ぐったり疲れる日もある。編集もすべて自分ひとりでiPadで行う。
現在の収入は年金月5万円にYouTubeの収益とエッセイの原稿料、講演料。YouTubeの収益が良い月でも12万円ほど。
「時々本当にすっごい赤字になる月とかあって、また預貯金減るやんって。もう青くなりながらやってる。もうギリギリ」
笑いながらそう語る彼女だが、YouTubeの広告案件を受けたのはこれまで2度だけ。自分が使って納得したクレンジングオイルと読んで面白かった書籍だ。健康食品など様々な案件の依頼が届くが、すべて断っている。ギリギリでも、ここは譲らない。
取材の終盤、ロコリさんが私のGジャンに目を留めた。「そのジャケットかわいいね。どこで買ったの?」。ネットショップで買ったことを伝えると、「買い物上手ね」と言ってくれた。一張羅を着て行ってよかった。
YouTubeの視聴者からは、「年相応の呪縛から解かれました」「私も赤いスカート購入しちゃいました」という声が届く。1790円のスカートに一目惚れして2色買いする75歳。靴はこだわりの一択。顔周りには5万円の眼鏡。その自由さが、見るひとの背中を押している。
YouTuberロコリはどのようにして生まれたのだろう。後編では、彼女の歩みをたどる。


