"人口8000人の過疎の町"を全国区にした「スーパー公務員」が51歳で退職…新名刺に「フリーアルバイター」と記載したワケ
田端さんはこのとき、富田町長を説得できる「材料」を用意していた。それは自分自身がいかに横瀬を愛しているかを訴える作戦だった。
「私は横瀬が大好きです。退職しても横瀬から出るつもりはありません。公務員という肩書を捨てて地域に入り込みたいです。今は以前ほど地域の人々の話を聞けなくなっているので、もっと地域の声を拾いたい。町長の街づくりにもその声を生かしたいです」と熱っぽく説明した。
田端さんは人と直接現場で交流することで人間関係を築き、大きな成果を上げてきたが、近年はさすがに管理側に回ることも多く、机に座っている時間が長くなっていた。
「僕は現場で判断して考えてきた人間ですので、役場の机にいることは僕の本意ではないのです。あとは、5年間で育ててきた若者にとって、僕の存在は邪魔になると思いました。僕がいると、どうしても僕を介して彼らに仕事や情報が伝わる。そうではなく、直接やったほうが絶対にいいはずです」
このような話を富田町長にしたところ、「今後も外側から町をサポートしてくれるのであれば」と退職を認めてくれ、快く送り出してくれることになったという。「51歳になってしまったけど、まあほぼ予定通りですよね」と、いたずらっぽく笑う。
異例の「予算は出さないが場を提供」というスタンス
田端さんは地元・秩父の高校を卒業後、1993年に横瀬町職員となった。意外にも最初は税務・財政畑が長く、県庁にも2年間出向。2010年に振興課に異動して観光振興を担当した。ここから現場との関わりが一気に増えたことで、持ち前の「人間力」が一気に開花した。
田端さんの名前が一気に知れ渡るきっかけになった事業がある。16年に立ち上げた官民連携プラットフォーム「よこらぼ」である。
よこらぼは、企業・団体・個人が実施したい事業やプロジェクトを実現するために、横瀬町のフィールドや資産を有効に利用し、横瀬町が支援する枠組み。
自治体のこのような事業は補助金による支援が通例だが、横瀬町は補助金を使うことなく、町内の古民家や施設などの遊休資産を提供する。つまり、予算をかけずに全国から「実証実験」を求める人々を集めることができる。



















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