「自分も子どもの頃、ラーメンがご褒美だったんですよ」
そう語る半田さんは、賞金の100万円で自身のカップラーメンを購入し、地元・戸沢村の高齢者や、新庄市の児童養護施設に寄付する。その施設こそが、双葉荘だった。
そこで彼は、当時の荘長からある事実を知る。
「子どもたちは外食に行く機会が少ないんです」
その言葉が、すべてを変えた。
「じゃあ、うちに来てもらって、好きなものを好きなだけ食べてもらおう」
この一言から、子どもたちを店に招く取り組みが始まる。
とにかく食べたいものを注文してほしい
以来、毎年50人ほどの子どもたちを招待し続けてきた。半田さんが大切にしているルールがある。それは「制限を設けないこと」だ。
「いくら高くてもいいし、残してもいい。とにかく食べたいものを注文してほしい」
児童養護施設の子どもたちは、日常の中で「選ぶ」という経験が限られていることが多い。だからこそ、自分で選び、自分で頼み、自分で食べる。その一連の体験を、何よりも重視する。
日常の中で「選ぶ」ことが限られがちな児童養護施設の子どもたち。だからこそ、制限を設けず、自由に注文してもらっている(写真:筆者撮影)
店に入ると、子どもたちは元気よく挨拶をし、帰りには厨房に向かって「ごちそうさまでした」と頭を下げる。小上がり席に上がるときに靴を揃える姿に、半田さんは何度も驚かされたという。
「正直、最初は偏見もありました。でも全然違った。みんな本当に礼儀正しいんです」
ラーメンを頬張る笑顔。それは、単なる「食事」以上のものだった。
活動はやがて、思いがけない広がりを見せる。再びカップラーメン企画で優勝した半田さんは、地元・最上の県会議員や県職員の協力のもと、賞金100万円の全額を使って県内5カ所の児童養護施設へ自転車を寄付する。するとある日、庄内の施設の子どもたちが突然店にやってきた。
「『新旬屋』さんにお礼を言いに行こう」



















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