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なぜDXを進める組織ほど「トラブルが起きると誰も判断できない」のか。学習する組織の構築に不可欠な「セオリー」とは何か

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トラブル対応に悩む社員
DXで業務の効率化が進んでいるのに、なぜ不測の事態に直面したときの組織力が弱まっているのか(写真:metamorworks/PIXTA)
  • 原田 勉 神戸大学大学院経営学研究科教授

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いま、多くの企業で「静かな崩壊」が起きている。優秀な人材もいる、仕組みも整っている。それでも、なぜかうまくいかない。「昔はできていたことが、今はできなくなっている」「トラブルが起きると、誰も判断できない」――。学習する組織を構築する理論と実践を解説するMIT発の伝説の名著『Theory(セオリー)』を翻訳出版した、神戸大学大学院の原田勉教授は、「これは能力の問題ではない。もっと根本的な問題である。セオリーが消えているのである」という。セオリーとは何か? 変革を求められる日本企業に必要なことは何か? 原田教授が解説する。

組織を動かす「見えない基盤」

企業経営において、「セオリー」という言葉は軽視されがちである。戦略、ビジョン、ストーリーといった言葉は華やかに語られる一方で、それらを支える基盤としてのセオリーは、暗黙知のまま放置されることが多い。

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しかし、結論から言えば、セオリーのない企業や個人は必ず行き詰まる。セオリーとは、単なるマニュアルではない。それは「なぜその行動が正しいのか」を支える原理であり、判断の基準であり、組織の思考の型である。

このセオリーがあるからこそ、企業は日々のオペレーションを円滑に進めることができる。さらに重要なのは、不測の事態に直面したときである。マニュアルが通用しない状況において、セオリーこそが意思決定の拠り所となる。

加えて、組織学習の観点からも、セオリーは不可欠である。知識は蓄積されるだけでは意味をなさない。それがどのような原理に基づくのかが共有されてはじめて、再利用可能な「組織知」となる。

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【セオリー不在の企業で起きる現象】

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