変化の時代において最も重要なのは、「何が変わるかではなく、何が保存されるか」である。ここでいう「保存されるもの」こそ、セオリーにほかならない。
DXはセオリーを救っていない
ところが近年、このセオリーの基盤が崩れつつある。その背景にあるのが、人材流動化とジョブ型雇用の拡大である。これらは一見合理的であり、柔軟性を高める制度に見える。しかしその一方で、組織固有のセオリーが継承されにくくなるという問題を引き起こしている。
実際、多くの企業で次のような現象が観察される。
・担当者が変わるとパフォーマンスが大きく揺れる。
・想定外の事態に対応できず、判断が停止する。
これは能力の問題ではない。セオリーの不在の問題である。
では、DX(デジタルトランスフォーメーション)はこの問題を解決しているのだろうか。結論は、否である。DXの実態を冷静に見ると、多くの企業で行われているのは、
・データのデジタル化(Digitization)
・業務の効率化(Digitalization)
にとどまっている。
しかし本来のDXにおける「X」は、企業が何を実現したいのかという目的を指すはずである。ところがこのXが曖昧なまま進められているケースがほとんどである。
結果として何が起きるか。
業務は速くなるが、判断は弱くなる。
次ページが続きます:
【セオリーはどのように形成されるのか】
