東洋経済オンラインとは
キャリア・教育

なぜDXを進める組織ほど「トラブルが起きると誰も判断できない」のか。学習する組織の構築に不可欠な「セオリー」とは何か

5分で読める
トラブル対応に悩む社員
DXで業務の効率化が進んでいるのに、なぜ不測の事態に直面したときの組織力が弱まっているのか(写真:metamorworks/PIXTA)
  • 原田 勉 神戸大学大学院経営学研究科教授
2/3 PAGES

変化の時代において最も重要なのは、「何が変わるかではなく、何が保存されるか」である。ここでいう「保存されるもの」こそ、セオリーにほかならない。

DXはセオリーを救っていない

ところが近年、このセオリーの基盤が崩れつつある。その背景にあるのが、人材流動化とジョブ型雇用の拡大である。これらは一見合理的であり、柔軟性を高める制度に見える。しかしその一方で、組織固有のセオリーが継承されにくくなるという問題を引き起こしている。

実際、多くの企業で次のような現象が観察される。

・業務は回っているが、なぜそうしているのか誰も説明できない。
・担当者が変わるとパフォーマンスが大きく揺れる。
・想定外の事態に対応できず、判断が停止する。

これは能力の問題ではない。セオリーの不在の問題である。

では、DX(デジタルトランスフォーメーション)はこの問題を解決しているのだろうか。結論は、否である。DXの実態を冷静に見ると、多くの企業で行われているのは、

・データのデジタル化(Digitization)

・業務の効率化(Digitalization)

にとどまっている。

しかし本来のDXにおける「X」は、企業が何を実現したいのかという目的を指すはずである。ところがこのXが曖昧なまま進められているケースがほとんどである。

結果として何が起きるか。

業務は速くなるが、判断は弱くなる。

次ページが続きます:
【セオリーはどのように形成されるのか】

3/3 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象