筆者はかねてより、昨今の勢いのある商業施設は「選択と集中」が効いていることを述べてきた。顧客ターゲットを絞り(「選択」)、彼らを徹底的に満足させる商品構成や価格帯、空間づくりをしているところ(「集中」)が人気なのだ。
その意味で、コナズ珈琲は、徹底してゆっくりと時間を過ごすニーズに特化していた。やや極端な物言いになるが、そこに「サラリーマンが1人で来る」ことは、立地的に、客層的に、メニュー的にもありえなかった。郊外ニーズを徹底していたのだ。
だとすれば、ひねくれた見方かもしれないが、KNOWS COFFEEは、あえて「選択と集中」をしていないと見ることもできる。
店名に見るトリドールの「したたかさ」
まだKNOWS COFFEEは出店したばかりで、今後どのようになっていくのかはわからない。だから、ここで書いたことは、ある意味で思考実験のようなものである。
ただ、これを書きながら思ったのは、「とはいえトリドールのやり方はしたたかだな」ということだ。
よくよく考えれば、単にコンセプトを少し変えた都心型店舗ならば、「コナズ珈琲」と名前を冠しても良かったはず。すでにその知名度は広がりつつあり、そうしたほうが消費者の注目も引くからだ。
ただ、トリドールはそうしなかった。コナズ珈琲とは完全に異なる業態としてKNOWS COFFEEを立ち上げたのだ。それは、この業態が「実験的」なものであり、それがどう転んでも、順調な「コナズ珈琲」のブランド価値は落とさないようにするための策なのではないか。
こう考えれば、あえて「選択と集中」をしないKNOWS COFFEEの実験性は当のトリドール自身がよくわかっていることなのかもしれない。
KNOWS COFFEEの2号店開業は5月。そこから先、この業態はどのように転ぶだろうか。ウォッチを続けていきたい。

