言語で人間に勝るAIが「図」を描けない理由。元コンサル教授×「抽象」のプロが「『考える』を考える」対談【前編】

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平井:言語が持つ抽象の広がりと、数式の厳密な論理の中間あたりに図があるのかもしれません。数式ほど厳密ではないけれど、言語ほど解釈が広がりすぎない。図はそんな位置づけだと思います。

細谷さんの本を読むときも、私は図を使います。段落を丸で囲んで「この話の具体例がこれとこれ」と線を引いたり、結びつけたり。言語という1次元のものを自分で、図で2次元に変換している感覚があります。

細谷:図にあるのは、まさに「関係性と構造」です。これは言語だと表現しきれません。数式も関係性ではありますが、人間が直感的に把握できる2次元的な構造は、図でないと表せない。そこが図の強力さだと思います。

平井:逆に言うと、私は図を口で説明するのが、どうも苦手です。頭の中は2次元なのに、言葉にするときは1次元にしないといけないもどかしさがある。それなのに細谷さんの本はいつもベストセラーですから、細谷さんの頭の中にはいつも興味があるんです。

AIには「引き算」ができない

細谷功(ほそやいさお)著述家、抽象アーキテクト。東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ、クニエ等の外資系/日系のグローバル・コンサルティングファームにて業務改革等のコンサルティングに従事した後、独立。近年は「具体と抽象」を中核のテーマとした講演やセミナーを企業や各種団体・学校等に対して国内外で実施し、思考力に関しての普及活動を行う(撮影:尾形文繁)

細谷:そういえば、AIは大量の情報をモデル化したシンプルな図を描くのは現状は苦手ですね。AIに図を描かせると情報量が多すぎて、シンプルな三角形1つがいきなり返ってくることとかはまずありません。

つまり、AIは引き算が苦手ということです。言語による抽象化はAIが得意とするところですが、シンプルな図への抽象化は人間の強みがまだ残っている気がします。

平井:逆説的ですが、AIが進化するほど、人間には「関係性や構造をイメージする力」が大事になってくるかもしれません。「この2つはどんな関係にあるのか」「なぜこうなるのか」という構造を、シンプルな図として把握する力。言語の抽象化でAIに勝つのは難しいけれど、図で考える力は人間が秀でている。

細谷:そこはしばらく人間がAIに「教えてあげる側」でいられそうです。

(構成:東雄介)

平井 孝志 筑波大学大学院ビジネスサイエンス系教授

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ひらい たかし / Takashi Hirai

東京大学教養学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。マサチューセッツ工科大学(MIT)MBA。早稲田大学より博士(学術)。ベイン・アンド・カンパニー、デル(法人マーケティング・ディレクター)、スターバックス(経営企画部門長)、ローランド・ベルガー(執行役員シニアパートナー)などを経て現職。コンサルタント時代には、電機、消費財、自動車など幅広いクライアントにおいて、全社戦略、事業戦略、新規事業開発の立案および実施を支援。現在は、経営戦略、ロジカル・シンキングなどの企業研修も手掛ける。三井倉庫ホールディングス社外取締役。著書は『本質思考』他多数。

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細谷 功 著述家、抽象アーキテクト

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ほそや いさお / Isao Hosoya

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェローとなる。問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。

著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』、『アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く』『問題解決のジレンマ イグノランスマネジメント:無知の力』(以上、東洋経済新報社)などがある。

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