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【脳科学で解明】プレゼンの達人が実践している《聞いている人をグッと引き込む》話し方のコツ

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聞いている人をグッと引き込む話し方について解説します(写真:kouta/PIXTA)
  • 西 剛志 脳科学者(工学博士)、分子生物学者
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心理学者ブリューマ・ツァイガルニクの実験では、被験者に複数の簡単な作業を行わせ、その一部を途中で中断させたところ、完了した作業よりも中断された作業のほうをはるかによく記憶していることが示されました。

物事が未完の状態で残ると、脳はそれを完了させたくなるのです。

文豪ゲーテの母親は、幼いゲーテに読み聞かせをするとき、物語が最高潮に達したところでこう言ったそうです。

「続きは、また明日ね」

続きを教えない。けれど、「考えなさい」とも言わない。それでも幼いゲーテは、自分で物語の続きを想像しました。

こうして想像する習慣が育まれ、ゲーテはやがて自ら物語を創作するようになります。そして後に『若きウェルテルの悩み』『ファウスト』を生み出す文豪へと成長していきました。

言葉を与えすぎなかったことが、想像力を奪わなかったのです。

多くの人は、「たくさん話さなければ伝わらない」と思い込んでいます。しかし実際は逆です。言葉を重ねるほど、相手の脳は受け身になります。
プレゼンが上手な人ほど、「大切なことがあります。それは……」と間を取ります。

「少し」+「止まる」と書いて「歩」。前に進むためには、いったん止まることが必要なのです。

話すスピードが違うと、相手は「敵」とみなす

話すスピードが大きく違うと、人は無意識に違和感を覚えます。

特に、相手が怒っているときに、こちらだけ落ち着いた口調・こちらだけゆっくりだと、「この人、わかっていない」「真剣じゃない」「こちらの感情を軽く見ている」と受け取られやすくなります。

目線も同じで、私たちには、無意識のうちに相手の視線の方向と同じところに目を向ける「共同注視」という同期現象があります。

この同期は、共感・協力・信頼と強く関係しています。つまり、話すスピードや目線を合わせるという行為は、内容以前に、「私は敵ではありません」と相手の脳に伝えるサインなのです。

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【コールセンターの電話対応】

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