競馬である。
3月28日は、戦時下にもかかわらず、UAE(アラブ首長国連邦)で世界的なレースであるドバイワールドカップが行われた。日本から参戦した大本命・フォーエバーヤングは、昨年の3着に続き、今年も2着惜敗に終わった。管理する矢作芳人調教師も本当に残念だろうが、仕方がない。
今回は、相手がうまくレースを運んだということと、ドバイと相性が良いわけではない、ということで、フォーエバーヤングという最強クラスの馬でも必ず勝てるわけではない。「海外遠征経験が豊富な矢作師をもってしても難しいのだ」と言いたいところだが、実はこれは違う。
ここからは、前回の記事の競馬部分からの続きなのだが、まずはJRA(日本中央競馬会)のHPに掲載されているデータをみてほしい。日本調教馬における、フランスの凱旋門賞挑戦の歴史(2025年は3頭が参戦)なのだが、矢作師ですら、2回しか参戦したことがないのだ。
調教師にも「互助会システム」が残存しており、実力のある調教師がその実力に応じたチャンスが常に与えられているわけではないのだ。馬房制限というものがあり、JRAのトレーニングセンターの各調教師の厩舎で担当する馬に制限がかけられているのだ。
私が競馬にもっとも情熱を傾けていたころなどは「全調教師平等」で、同じ馬房数に制限されていて、その後、成績に応じて多少の追加の馬房が与えれるようになったが、それでも制限は残っている。
調教師も「4つのステップ」で実力主義を徹底せよ
外国はどうかと言えば、例えばアイルランドのエイダン・オブライエン調教師は、25年の凱旋門賞には2頭出走させているが、これはごく普通のことで、25年に複数頭を出走させた調教師は、ほかにもフランスのF.グラファール師(3頭)、A・ファーブル師(2頭)といる。つまり、日本のJRA調教師は、欧米の調教師に比べ経験値がまるで違うし、その差は、制度上、どうやっても縮まらないのだ。
日本では、JRAのトレ-ニングセンター内にある厩舎を内厩、外部の調教牧場を外厩と呼ぶが、欧州ではそのような区別はない。日本でだけ内厩という名前があるのは、レースに出る10日前にJRAトレセン内の厩舎に入厩していなければならない、というルールがあるからだ。
検疫のためという建前上の理屈はあるかもしれないが、実際には隔離するわけではないから、実質的には何の意味もない。馬房制限と10日間ルールが相まって、優秀な外厩を有力馬主は使い(最大級の馬主は専用のものを持っている。福島にあるノーザンファームの天栄が有名だが、これはもとは早田牧場が打倒社台グループのために作ったものだ)、形式的に内厩を使わなくてはいけないから、使い勝手のいい調教師の厩舎を使うというようなことが起きてしまう。
実際には、10日だけでも、優秀な調教師である方がもちろん望ましいから、有力馬は優秀な調教師のところに集まる傾向にはあるわけだが、例えば、100頭所有していたとしても、例えば全馬を矢作厩舎に預けるわけにはいかない。欧州では何の問題もない。これでは、欧州の調教師と勝負にならない。
長くなってしまったので、改革案を結論だけ述べておこう。騎手はすでに実力勝負の世界になっており、調教師も同様にするべきだ。第1段階として、馬房制限を大幅に緩める。第2に、トレーニングセンターは美浦と栗東と東西に分かれているが、調教師が自由に東西の馬房数を選べるようにする。
第3に、北海道が管轄するホッカイドウ競馬の主開催場所である門別競馬場と、JRAが管轄する札幌競馬場両方からアクセスのよいところに、第3のトレセンを作り、そこの馬房は、自由に与える。第4に、そのトレセンは、ホッカイドウ競馬と共用とし、地方競馬の調教師も使えるようにし、徐々に調教師の垣根を取り払っていく。続きは、またの機会に。
(※ 次回の筆者はかんべえ(吉崎達彦)さんで、掲載は4月11日(土)の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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