日本株は「最重要局面」に差しかかっているが上昇基調は不変、今後の戻り相場で主軸となる業種は?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方、8%の下落がベアマーケットの「前兆」なら、「12%下落は20%急落への入り口と」見る投資家も少なくない。この点、ナスダック(独DAX指数も)が12%超の下落になっている状況は、世界の株式市場全体にとって、「調整の深まり」を示す重要なシグナルと彼らは見ている。地政学リスクの急激な悪化を予測しているのが12%の下落であり、アメリカの10年債利回りが一時4.48%まで上昇し、ハイテク株が脆弱になっている証拠だとしている。

ただ、今回の下落は、継続的な景気悪化や企業収益の崩壊ではなく、地政学リスクの急拡大が主因で、市場は“最悪シナリオ”(原油価格の急騰・金利の急上昇)を一時的に織り込んだ。これらは「ショック型」の典型で、根本的な景気後退や企業業績の崩壊ではない。

さらに、今回の下落はスピードが速すぎる。俗に恐怖指数と言われるVIX指数の急騰もそれ自体が不安をあおっており、典型的なイベントショックの形だ。今後、原油価格が落ち着くか、アメリカの長期金利が4.3%台に戻るか、地政学ニュースが沈静化するかで、世界株はV字反発の可能性を秘める。

「戻り相場」で主軸となる業種は?

ナスダック市場などに比べると、日本市場は円安(1ドル=160円台)が下支えしており、銀行株などのバリュー株比率も高いので、金利上昇には比較的強い。また政策の後押しもあって、内需企業の業績はむしろ改善方向にある。そうしてみると、特に金融(銀行・非銀行)は、これから最も早く反発すると見る。高値からの調整局面で売られすぎたため、最初に資金が戻ると見るからだ。日経平均ではなく、TOPIXが主導する戻り局面では、引き続き中心セクターとなるはずだ。

また、不動産は、オフィス賃料の上昇が続いており、インフレ環境では資産価値が上がりやすい。日本の大手不動産企業の含み益は大きく、財務基盤も強い。金利上昇の悪影響よりも、需給改善のほうが勝つと見る。

建設も有望だ。公共投資・都市再開発・インフラ強化が継続的テーマ。受注環境が良好で、利益率改善が進む。ゼネコンは財務体質が強く、配当も安定している。さらに、総合商社も、資源価格上昇・円安で利益が伸びる。多角化が進んでおり、収益基盤も強い。

以上をまとめると、世界株は12%前後の調整となっているが、あくまで「外的ショック」によるものであり、TOPIXは27日段階で7%台の下げで踏みとどまり、構造的な強さは維持されている。今後のリバウンドの主役は景気敏感内需であり、優先順位は 金融 → 不動産 → 建設 → 商社の順となる。

最後に、中東有事という巨大な地政学的リスクの不確実性をいったん除外したとき、株価の将来を最も左右する要素は明確だ。

1. 世界の成長力(特にアメリカの強さ)

2026年の世界成長率は 2.8% と「堅調」な見通しが示されている。最重要であるアメリカも、減税・関税負担の軽減・金融環境の緩和が追い風で2.6%成長が見込まれる。株価の本源的なドライバーは企業利益であり、その源泉は世界の成長力だ。アメリカの底堅さはグローバル株のリスク許容度を押し上げ、日本株にも資金が流れやすくなっている。

2. 金融政策の非同期化(政策金利の方向性)

FRB(連邦準備制度理事会)は2026年に 0.5%の利下げ をすると見込まれ、ECB(欧州中央銀行)は利上げを終了、日本は利上げ継続という「バラバラの政策サイクル」となっている。

この「金利の非同期化」は、為替・債券・株式の資金フローを大きくし、前向きなボラティリティ(変動率)を高める。アメリカの利下げは株式に追い風だが、他地域との金利差が拡大すると、為替変動を通じて日本株にも影響が波及する。

まとめると、中東有事を除外した「純粋なマーケットの要素」は、世界の成長力(特にアメリカ)、金融政策の方向性(利下げ・利上げの非同期化)となる。引き続き4月、5月の相場に期待したい。

(当記事は「会社四季報オンライン」でも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事