家賃ゼロ・ただの廃倉庫が「人と仕事を呼ぶ」不思議、その絶妙な仕組みとは? 《家賃に縛られない場》の新発想 静岡・下田

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ワークショップ
高校生、子ども、地元の事業者などとの交流会、ワークショップなども開催された(写真:ELENTO合同会社)

人口減少が続き、2014年に続き、2024年も消滅可能性自治体とされた下田市としては、あらゆるところから来る関係人口に期待するところがある。

倉庫という場、そこに集まる人材が他の人達を吸着する“マグネット”になり、人、仕事を増やしているのだ。市や県からこの場への期待が集まるのは当然だろう。

立地はハンディではない! 不動産価値を最大化

しかも、このマグネットが生む効果は家賃と違い、上限がない。家賃は冒頭で述べた通り、空間のボリュームによって決まっており、都会の立地の良い場所では収益を十分に上げられるほど高く設定できるが、地方で相場を考えると収益というほどにはならない。

だが、家賃としてではなく、場が生む関係から産出される収益と考えると、関係が広がり、密になればなるほど収益は大きくでき、リミットがない。立地はハンディではなくなる。不動産の価値の最大化とは実はこういうことなのかもしれない。

ただ、これが可能になるのは、「場をタダで貸してもいい」という不動産所有者、確固たる自分の好みを持ち、それを曲げない運営者、独立して仕事ができる不便も含めて面白がれる利用者の三者が揃い、そこに互いを信頼する人間関係があってのこと。

中2階
中2階にも家具や照明(しかも奥にはシャンデリア!)がランダムに置かれている(写真:筆者撮影)

誰かが「自分だけは得したい」「儲かっても対価は払いたくない」などと思ったら成り立たない仕組みでもある。簡単そうに見えて真似するのはすごく難しいものかもしれない。

ちなみに移住してきた根岸さんは梅田さんとこの場が面白かったから下田に来たそうで、「梅田さんが下田ではない、他の場所にいたら、自分もそこに行っていたかもしれないなあ」とおっしゃった。場は人次第ということらしい。

中川 寛子 東京情報堂代表

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なかがわ ひろこ / Hiroko Nakagawa

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30年以上不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービスその他街の住み心地をテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に『「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)、『解決!空き家問題』(ちくま新書)など。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会各会員。

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