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家賃ゼロ・ただの廃倉庫が「人と仕事を呼ぶ」不思議、その絶妙な仕組みとは? 《家賃に縛られない場》の新発想 静岡・下田

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下田生まれ、下田育ちの梅田さんはその当時、自動車の板金業、アウトドアベンチャー起業を経てワーケーション絡みの事業の立ち上げを手伝っていた。

都市の大手事業者があちこちの地方に仕事場と宿泊施設を作り、そこにコミュニケーションマネジャーを置くことで人間関係を育む。そうして地域を活性化し、地方に人を呼ぼうという事業だ。

「2年間、25拠点ほどの立ち上げを手伝ったのですが、その経験から不動産は面白いと思うようになりました。屋根がひとつあるとそこに人が集まる。集まるといろいろな関係が動き出す。場所には人を動かす力があるな、と。

ただ、その仕事では、必ず場にルールを作りました。確かに全部決まっているほうが安心で暮らしやすい反面、それでは面白いものは生まれない。続けているうちにルールのない場を作りたいと思うようになりました」(梅田さん)

タダで借りたルールのない倉庫にタダで人を集める

そこで50歳の時に会社を辞め、山本建築から倉庫を借りた。「年間1000人を呼ぶから、同級生のよしみでタダで貸してくれ」と頼んだ。タダで借りた、ルールのない倉庫にタダで人を集めたら何が起きるか、実験をしてみようと考えたのだ。

片付けがある程度終わった段階の写真。もともとの中2階には手すりはなかった(写真:梅田さん提供)

「2023年4月から倉庫の片づけを始めました。シャッターも窓も大きな、気のいい空間なので、外に開いた空間にしたら何かできるのではないか、と思ったのです。

1階はもちろん、2階にも鉄屑その他大小の残置物が詰まっていて、捨てるだけでも200万円以上かかった。

ただ、ごみを捨てたら今度はがらんとしてしまって寂しい。そこで周囲に声をかけて要らない椅子を集めるなどして空間を作っていきました」(梅田さん)

現状、倉庫内には椅子だけでなく、さまざまな家具その他が置かれているが、それらはほぼタダでもらってきた、あるいは持ってこられたもの。それを梅田さんが適当に配置し、時に色を塗り、気分で移動する。

3階は資材置き場だった時代を思わせる乱雑さ。ドアその他が積まれている(写真:筆者撮影)
「スペースがある=置く場所がある、でしょ」といろいろなモノが持ち込まれ、それらがあちこちに積まれている(写真:筆者撮影)

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【何かと不便な倉庫だったが…】

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