短納期開発の圧力、アクティビストの台頭… 日本が「モノづくりで勝てなくなった」根本理由
外資による買収を国策(外為法)で拒絶した企業が、経営の舵取りを外国人プロ経営者に委ねるというパラドックス。これこそが、「資本の支配」は拒むが、「グローバル基準の経営手法」は取り入れざるを得ないという、日本企業が到達した苦渋の、しかし極めて現実的な「解」と言えるでしょう。
物言う株主は「救世主」か、「略奪者」か
一方、非公開化によって劇的な再生を果たしつつあるのが、東芝です。
23年12月の上場廃止以降、日本産業パートナーズ(JIP)主導のコンソーシアム傘下に入った東芝は、25年11月に3つの事業セグメントに組織を再編しました。本社のスタッフ部門は23から13に削減され、各事業が自律的に利益責任を持つ体制へと完全移行したのです。
この構造改革の効果は数字に表れています。25年度3月期の連結決算で、最終損益が2790億円の黒字、営業利益は前期比で5倍の1985億円で劇的に改善。生成AIブームに伴うデータセンター需要の急増を受け、HDD事業が収益の柱として復活したのです。
さて、アクティビストは「救世主」か、それとも「略奪者」でしょうか。
確かに、アクティビストの圧力がなければ、セブン&アイの大胆な改革も東芝の再生もなかったでしょう。しかし、短期的な株価上昇を狙った圧力は「長期的な成長投資」や「従業員の雇用」を犠牲にするリスクもあります。
重要なのは、外部からの圧力を「脅威」として拒絶するのではなく、「変革のきっかけ」として前向きに受け止める姿勢です。セブン&アイや東芝の事例は、日本企業が外圧を利用しながらも、自らの意思で変革の道を選び取ったという点で希望を感じさせる物語なのです。
日本企業は新たな均衡点を探る苦難の道を歩んでいます。
その道のりは決して絶望的なものではありません。
ダイハツやトヨタは品質の原点回帰を果たしつつあり、ソニー・ホンダモビリティは異業種連携という新しい挑戦を通じて、日本企業の可能性を広げようとしています。セブン&アイや東芝は大胆な構造改革によって新たな成長の芽を育てています。
ガバナンス改革の真の目的は「不正を防ぐこと」ではありません。
「正しくリスクを取れる組織にすること」です。
これまでの日本企業は「失敗しないこと」を最優先にしてきました。しかし、これからのガバナンスは、若手や異能な人材、外部のプロ経営者なども含めて、彼らが思い切って挑戦できる環境を守るための基準にするべきです。
内部留保を吐き出し、株主と対話することは経営者の退路を断つ行為です。
しかし、退路を断つからこそ、本物の「アニマルスピリッツ」が蘇ります。
「守りのガバナンス」から挑戦を奨励する「攻めのガバナンス」へ。
統治のあり方を変えた企業から順に、日本経済の閉塞感を打ち破るブレイクスルーが生まれてくるでしょう。
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