セブンのデイカス氏は「後手」の印象を拭えるか 難しいかじ取り

セブン&アイ・ホールディングスは6日、スティーブン・デイカス氏(64)が5月27日付で社長に就任すると発表した。井阪隆一社長は食品の品質向上や海外展開を進めたが、セブンを取り巻く環境は厳しい。デイカス氏には、成長戦略を推し進めながら投資家らの理解を得るためのかじ取りが求められる。
デイカス氏はセブンで取締役会議長を務め、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けた以降は特別委員会の委員長として検討を進めてきた。ファーストリテイリングや米ウォルマートで経営幹部を務め、国内外の小売り事業に携わった経験を持つ。
6日夕に開いた記者会見で井阪氏は、指名委員会でのデイカス氏の経験や資質が、グローバルな成長推進に際して最も適任と判断されたと説明。一緒に働く中でデイカス氏に対して「勤勉さと献身的な姿勢には頭が下がる思い」だったといい、同社グループに求られるサーバントリーダーシップ(支援型のリーダーシップ)を発揮できる人物だと評価した。
米国のコンビニ事業をIPO
デイカス氏は米国のコンビニ事業を運営するセブンーイレブン・インク(SEI)の新規株式公開(IPO)を通じて日米各市場のニーズに対応していくことなどを説明。セブンの勢いやシェアを一部失った事実を謙虚に受け止めるべきだと述べた。またフランチャイズの加盟店オーナーだった父が運営するセブン-イレブンで働いていたエピソードも明らかにした。
クシュタールの買収提案の影響を除くと、井阪隆一氏が指揮を執った9年弱でセブンの株価が大きく上昇したとは言いづらい。在任後半には市場との対話に関して「後手に回った」という印象が長くまとわりついた。昨年10月の投資家向け説明会では、「企業価値、株主価値のさらなる向上が見込める段階を迎えている」とも訴えていたが、同社を見る目は大きく変わらなかった。