「日本一予約が取れない」行列ラーメン店で修行した彼は、なぜ「うどん店」を開業したのか。360円から提供する"信念"の正体

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そのためにはいかに効率よくダシをとるかがポイントだ。一般の店より材料の量はそれほど多くなく、安価な食材を使っていても、手間を惜しまずかけることで美味しいものは作れる。

基本の煮干しだけではなく、椎茸やドライトマトを使った複合的な出汁。鶏天などの油が加わることで味を開かせる発想。そして何より、食べ手への細やかな気遣い。

カウンターに立つ中島崇宏さん
調理中の様子(写真:筆者撮影)

この一杯には、「銀座 八五」で学んだ旨味の重ね方とおもてなしの両方が息づいている。高級店のエッセンスを、日常価格に落とし込むその設計は極めてロジカルだ。

うどん→ラーメン→うどん。この経歴は一見すると異端だ。しかし実際には、

・立ち食いうどん店で「回転と現場力」を学び

・銀座 八五で「出汁と思想」を学び

・それを統合して「うどん食堂」という形に昇華した

極めて一貫した進化とも言える。

「誰でも気取らず美味しい料理を楽しめるように」

店先に立つ2人
師匠との2ショット(写真:中島さん提供)

そしてその根底にあるのは、松村康史の哲学「誰でも気取らず美味しい料理を楽しめるように」という思想だ。

『ラーメンビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「味、おもてなし、一期一会の心という“八五イズム”にしっかりこだわりたいです。無機質な回転型ではなく、できる限り接客の温かみ、空間の作り方にこだわる。どんな世代にも受け入れられる、優しい場を目指してお店づくりをしていきます」

“日本一予約が取れないラーメン店”と、“日本一入りやすいうどん食堂”。対極にあるようでいて、その根っこは同じなのである。

中島崇宏という料理人は、その両方を知っている。だからこそ、今までになかった日常の最高到達点のような一杯がこの街に生まれたのだ。

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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