科学技術強国という目標に向け、中国政府は強力な投資に踏み込んでいる。23年の主要3カ国のR&D(研究開発)投資規模をみると、アメリカは約91兆円、日本は約22兆円、中国は約87.4兆円だ。00年ごろと比較すると、アメリカは約3倍、日本が約1.4倍にとどまるのに対し、中国は約20倍に膨らんだ。
新5カ年計画では、社会全体の研究開発投入額を「年7%増」とすることが明示された。経済成長に不透明感が増す中でも、研究開発投資を緩めない姿勢が明白だ。念頭には、米中2強による激しい技術覇権争いがある。
技術競争では、初期の「標準」が長期的な産業構造を左右する。中国が先端産業の市場形成を急ぐのは、「標準化」を通じて自国主導のサプライチェーンを築くためだ。
日本企業にとって危機となるのは、中国が外国企業を介在させない完結型クラスターを形成することだろう。中国が完結型クラスターを形成してしまえば、日本企業は中国市場からの後退を迫られかねないからだ。
中国「未来産業」と日本企業の優位性
中国政府が「次世代成長エンジン」と位置づけるのが量子技術、バイオテクノロジー、水素・核融合、BMI(Brain-Machine Interface:脳とコンピューターをつなぐ技術)、具身智能(エンボディドAI)、6Gといった未来産業だ。日本企業が中国市場で優位性を保てるのは、これらの分野が求める高精度加工や材料特性の領域である。日本企業の技術力の高さから、容易には置き換えが利かない領域だ。
先端産業の競争力は最終製品だけでは決まらない。設計、装置、材料、測定といった工程の蓄積も産業全体の強度を左右する。中国の一部の政策文書の筆頭にあった量子コンピューターを例に見ても、日本企業はなお特定工程で経済的価値を有している。例えば以下の表の企業と技術だ。






















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