決算書の「隠れリスク」会計のプロはここで見抜く!貸借対照表をじっくり読み解けば企業のリアルな財政状態がわかる
次に、貸借対照表の「負債の部」についてお話しします。こちらは「資産の部」と違って、基本的には硬度の高い項目ばかりです。
それも当然で、短期や長期の借入金はもちろん、買掛金や未払金など、ここに含まれる勘定項目には返済や支払いを受ける請求権者がいます。その価値は請求権者が決めるので、金額に曖昧さがありません。だから、硬度が高い。
逆にいうと、「資産の部」の無形資産のように請求権者がおらず、会社が自分で値段をつけられるような勘定項目は硬度が低くなるのです。
ただし「負債の部」にも例外はあります。「引当金」という言葉のつく項目は、将来発生することが予測される支払いに備えて会社が自分で見積もって貯めておくものなので、具体的な請求権者はいません。
たとえば「製品保証引当金」は販売した商品の無償修理や無償交換を想定したもの。自動車メーカーなら、重大な欠陥が見つかって製品回収(リコール)が起きることにも備えておく必要があります。
製品を購入した顧客が請求権者ともいえますが、具体的にそれが誰なのかはわかりませんし、金額を決めるのも請求権者ではありません。
「退職給与引当金」は、いずれ発生する従業員への退職金の支払いに備えるもの。
こちらも退職者という請求権者がいますが、いまはこれに退職金と年金の両方を含めることになっているので計算が複雑になっており、全員の分を合算するといくらになるのかは、ほとんど誰にもわかりません。わかるのは、その計算を専門にしている保険数理人だけです。
ともあれ、さまざまな「引当金」は将来に対する予測に基づくものなので、記載された金額はあまり確実なものではありません。そのため「負債の部」の中ではこれだけが、硬度の低い項目といえるのです。
負債はOKだが「有利子負債」は話が別
もうひとつ、経営分析をするときに 「負債の部」で注目すべき項目は、有利子負債です。
「長期・短期の借入金」や「社債」がこれにあたります。これがあまりに多いと、経営に疑問符がつきます。
企業には、決まった寿命がありません。もちろんいつ破綻するかはわからないのですが、最初から期間限定で事業を行なう企業はないので、理論上は永遠の命を持っています。
寿命が決まっていれば、負債はそれまでに必ず返さなければいけません。しかし永遠の命があるという前提に立てば、「いつか返せばいい」と考えることができます。
したがって、企業には負債そのものはいくらあってもかまいません。負債が多いというだけで、その会社や経営者の評価が下がることはないのです。
ただし、有利子負債は話が別です。買掛金、支払手形、未払金などの負債は利子がつかないので「いつか返せばいい」で済みますが、金融機関や債券市場から資金調達した借入金や社債などは、利子をつけて返済しなければなりません。
このような有利子負債は、時間が経てば経つほど支払う利子が多くなります。経営上、これは少ないに越したことはありません。ですから、硬度が高いか低いかという問題とは別に、有利子負債はしっかりチェックする必要があるのです。
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