キンコン西野の『プペル』新作を"色物扱い"できぬ理由 "お騒がせ芸人の作品"イメージ完全払拭し、巨大IP転身の可能性も

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プペル
(写真:『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会)

時を刻まなくなった時計は処分されるその世界に、壊れていないのに11時59分で止まっている不思議な時計台があった。ルビッチが元の世界に戻るために課せられた使命は、その時計を動かすこと。

人間の言葉を話す異世界ネコのモフを新たな相棒にして、時計の謎に迫るルビッチは、壮大な冒険の果てに、100年前の約束を信じて待ち続ける時計師・ガスの悲運を知ることになる。いなくなった親友・プペルを思うルビッチの心は、ガスに共鳴する。

プペル
(写真:『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会)

いちどは友人の帰りを待つことを諦めた少年は、100年もの長い間、ひたすら待ち続ける男の強さと優しさに押されて、信じる勇気を取り戻す。その小さな心のなかの大きな変化は、人としての強さにつながり、そこから生まれる行動が未来をたぐり寄せる。

完成度は高いがありきたりな感動物語だった前作

プペル
(写真:『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会)

今作は、前作と同じ少年が主人公になり、同じ町からつながる異世界を舞台にした物語だが、そこで描かれる内容は大きく変わった。

前作は、子ども向けの王道のエンターテインメントだった。子どもたちが、住む街の未来のために悪者に立ち向かうファンタジーアクションであり、そのキャラクター造形も、圧倒される美しさの映像演出も、壮大な物語の構成も、すべてが緻密に計算して作り込まれた大作だ。

しかし、その高度な完成度には、どこか既視感があった。『ズートピア』や『トイ・ストーリー』などの人気シリーズでおなじみのピクサー・アニメーション・スタジオの世界観に通じる、ストーリーの先行きが読めてしまうような、ありきたりな感動の物語になっていた。

それでも、コロナ禍に27億円という大ヒットになったことは、広くファミリー層に受け入れられたことを示している。ただ、筆者はこの作品のヒットポテンシャルはもっと高いと感じていた。なのに、品行方正な物語になりすぎていたことが、観客層の広がりの壁になったのではないだろうか。

その壁を取っ払ったのが今作だ。

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