「もっと働きたい!」って歯ぎしりしながら寝る…… 《敏腕マンガ編集者》の"リアルな仕事観"
ボツ作品を大量に読んでいると、見えてくるものがある
石井:林さんが忙しい中飲み会に行って人と会っているのは、感性を保つためでもあると思うんですが、ほかに感性が老いないためにやっているのは、やっぱりいろんなコンテンツに触れることでしょうか。
林:そうですね、基本はいろんな作品に触れ続けるだけだと思います。でも最近思ったのは、漫画のボツ作品を大量に読んでいることも、意外と役立っているんじゃないかなって。持ち込まれた作品を読んでボツだと思ったら、それを言語化して伝えないといけないじゃないですか。それを毎日のようにやっているので。
石井:なぜダメなのか説明することって、すごく大事ですよね。だからこそ見えてくるものもあると思います。それはいい作品をずっと読んでいてもわからないでしょうね。
林:そうなんですよ。この前、持ち込みを募集したら160人くらいから応募があって、夜中にずっとその戻しをテキストに起こしていたんです。そこで、それなりのレベルにある作品について「賞も獲れそうだけど、僕が担当することはないな」と思ったときに、その理由を考えていたら、いろいろ見えてくるものがあったんです。
石井:わかります。僕もずっと優秀な放送作家さんと仕事をしてきたから、いい企画ばっかりで打ち合わせが5分で終わったりしていたんです。でも、初めて社員を採って企画を考えてもらったら、全然ダメで。そうすると、打ち合わせの時間も30分から1時間はかかるわけですよ。ただ、ダメな理由を説明する時間は、企画の良し悪しに関する感覚を養うトレーニングになるんですよね。
林:先輩が老いるのが早かったのも、同じ理由なんだろうな。先輩編集の中には、スマッシュヒットを飛ばしたあとは出世するだけだと、持ち込みも取らず、イベントにも行かなくなり、作家を育てなくなった人も多かったんですよ。僕はまだ育てようとする気持ちがあるから、必然的に作家にノーと言う回数も増えるわけで、それが編集として生き残れている理由かもしれません。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら