イカナゴは壊滅的に獲れなくなった…日本の魚を減らした"真犯人"の正体

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②水がきれいになりすぎたから……エサになるプランクトンが減れば、資源に影響が出ることはあり得ます。ただ、それが主因だとすると、室町・江戸、もしくはそれ以前の時代にはイカナゴは少なかったのでしょうか。この点について今月、北欧の資源学者と話した際にも、「それでは100年前は?」という答えが返ってきました。また、瀬戸内海だけでなく、同じくイカナゴが消えた陸奥湾、伊勢・三河湾、福島沖、仙台湾も同様に、水がきれいになりすぎたことだけで説明できるのでしょうか。

③他の捕食者が増えたから……瀬戸内海の漁獲量は全体で減少が続いています。イカナゴは特定の魚種だけではなく、大半の魚種のエサになっている魚です。瀬戸内海でイカナゴが激減したのは突然ではありません。減少傾向が続いた末に、一気に減ったのです。その年の海洋環境によって、生まれた魚が生き残る率が変化することも関係するでしょう。しかし、もとの資源という分母がどんどん小さくなっていけば、生き残る絶対量も減ってしまいます。

また、捕食者の増加が主因だとすれば、ほぼ全魚種の資源減少が著しい上記の他の海域で減った理由はどうなるのでしょうか。日本全体の漁獲量は、横ばいが続く世界全体の傾向とは対照的に、年々減少を続けています。ここでも、捕食だけでは説明しきれない部分が出てきます。

完全養殖や稚魚放流は解決にならない

イカナゴに限らず、同じく激減しているシシャモ、サバ、秋サケ、ウナギなどについても、補填的な役割はあっても、完全養殖や稚魚放流は根本的な解決にはなりません。天然の水産物を漁獲する漁業とはコスト事情が大きく異なるので、刺身などの高単価向けの供給にしかなりません。

皆さんが普段食べている塩干品などの加工品は、大量にに魚が漁獲され、魚価が安かった原料をベースに加工されてきました。一方で養殖物に関しては、設備投資やエサ代など、漁業で漁獲される水産物とはコストが大きく異なるため、高くなってしまうのです。

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