国家情報局の創設は国を誤らせないか 情報員の能力不足と組織の忖度体質が招く深刻なリスク

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中国の軍事刊行物だけを読んでいたのだろう。政治外交の刊行物を読んでいると、むしろ「武力統一は台湾独立の事態以外ではありえない」という結論に至る。中国の理想は「和統」と呼ぶ和平統一であり、次いで台湾政権との協力を進める「智統」や「知統」である。軍事力を用いる場合も、戦わずに圧力で統一を強制する「逼統」「北平形式」を優先している。

これは公安調査庁や公安警察も同じである可能性もある。どちらも判断に重きを置いた組織とは考え難い。本質的にはどちらも情報コレクターであり、後者はそれに加えて治安維持のための国内工作機能がついた組織に見えるからだ。

情報を「装飾」する傾向

第2は、情報組織にある価値をいたずらに「装飾する」傾向だ。自衛隊をみる限り、事実の追求に熱心とは考え難い。

筆者が衝撃を受けたのは「上が喜ぶ内容を出さないとだめ」という発言だった。前述した「A幹」の情報士官が「俺はうまくやっている」との自慢で出てきた話だ。総じて、上層部のウケを異様に気にする傾向がある。おそらくは、他職域と違って目に見える実績がないからだ。

艦艇なら出航日数、パイロットなら潜水艦発見、経理なら契約件数といった目に見える実績がある。それがない。そのための自分の仕事を難しく、価値あるように装う雰囲気はある。

情報職域に仕事を頼むと、意図的に回答を遅らせていると思わせることがあった。一応は機微に属する仕事について、2週間の予定のものを2週間以上かけて戻すといった形だ。

なお、筆者が直接実施すると実質1日で終わった。出向時に、情報職域が再依頼する先に直接掛け合った際には、訪問の調整も含めて3日後程度だった。おそらくだが、「作業がさも難しい」といった印象を与えるように装ったのだろう。自分たちの存在価値を高く見せるためにそうしたようにも見えるからである。

まずは、価値装飾の傾向は確かにある。組織評価や人事評価の機会を得がたい立場だ。その前提に立てば、上層部が喜ぶ内容をヒネりだそう、自分たちの情報について、さも価値があるように装おうとしても不思議はない。

そして、それをしてもバレない。秘密保持を理由にして検証をはねつけられるからである。本当であるかはどうかは、当の情報組織でなければわからない。その組織でも関係者以外には「あなたは『知る必要』がない」と情報閲覧を制限できる。警察系統の公安警察や法務省に属する公安調査庁にもその傾向はあるかもしれない。

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