日本の外交に日米同盟を見直す「プランB」は可能か、現状で考えられる3つのプランBの中身は

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第3は、日米同盟関係を維持しながら、目立たないように微調整していくやり方だ。「ステルスのプランB」と言ってもよい。日本外交の司令塔である国家安全保障局(NSS)の局長を25年10月まで務めた岡野正敬元外務事務次官は2月下旬発行のアメリカの外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』に寄稿。日本などの同盟国はアメリカに対する姿勢を根本的に再考することが迫られていると強調した。

日本自身が防衛力を整備しつつ、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国、オーストラリア、インド、カナダ、欧州諸国との連携を深める必要があると説いている。プランBという言葉は使っていないものの、中堅国との連携を通じて日米同盟関係を補強していくべきだという見解だ。中道改革連合や岡野氏がNSS局長として仕えた石破茂前首相の周辺などに賛同する動きがある。

「プランB」の最大の問題点

これに対して、政府・自民党内では「プランBといっても具体的な政策に移すのは難しい。当面は日米同盟を軸に防衛力を強化していくプランAしかない」(政権幹部)という反応が多い。とりわけ「プランBの最大の問題点は核抑止だ」との指摘がある。

先述の岡野氏の論文でも触れているが、近隣のロシアと中国が大量の核兵器を持ち、北朝鮮も核・ミサイル開発を進めている中で、日本が頼れるのはアメリカの核の傘だけだ。そうした状況下でプランBを打ち出せば、アメリカの疑念を招きかねず、それが核抑止戦略にも影響を及ぼすという懸念は日本政府部内で強い。

アメリカでは26年11月に中間選挙が予定されている。現在は上下両院ともトランプ政権与党の共和党が多数を占めているが、最近の世論調査では下院で民主党が多数を占める可能性が大きく、上院でも民主、共和両党の勢力が拮抗しそうだという。その場合、トランプ大統領が残り2年の任期を残して「死に体」となることが予想される。

さらに28年の大統領選で民主党が政権を奪還すれば、アメリカの対外政策は国際協調、同盟重視に戻ることも考えられる。そうしたアメリカの動向を見すえて、「現時点でプランBの議論を急ぐのは得策ではない」(外務省幹部)との判断も出ている。

いずれにしてもトランプ大統領が国際秩序や同盟関係を揺さぶり続ける中で、先述した第2、第3のプランB論と現在のプランA論とを交えた現実的で活発な政策議論を進め、新たな方向を打ち出すことが必要だ。その議論自体が日本外交の幅を広げることにつながるだろう。議論の場づくりとして、国会やアカデミズム、ジャーナリズムが果たすべき役割が大きくなっている。

星 浩 政治ジャーナリスト

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ほし ひろし / Hiroshi Hoshi

1955年生まれ。東京大学教養学部卒業。朝日新聞社入社。ワシントン特派員、政治部デスクを経て政治担当編集委員、東京大学特任教授、朝日新聞オピニオン編集長・論説主幹代理。2013年4月から朝日新聞特別編集委員。2016年3月からフリー。同年3月28日からTBS系の報道番組「NEWS23」のメインキャスター・コメンテーターを務める。著書多数。『官房長官 側近の政治学』(朝日選書、2014年)、『絶対に知っておくべき日本と日本人の10大問題』(三笠書房、2011年)、『安倍政権の日本』(朝日新書、2006年)、『自民党幹事長』(ちくま新書)など。

 

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