『暮らしのおへそ』編集ディレクターが60歳を過ぎて手放した「褒められたい」の呪縛、「気にしい」が変わったきっかけ

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かつては、原稿の締め切りがある1週間ぐらい前から外出を控え、仕事の打ち合わせが入ったら、友達とのお茶の約束を断り、夫と旅行の予定を立てても、取材スケジュールを優先させていたのに、最近ではテニスのレッスンがある日には、仕事を入れないように調整しています。原稿の締め切り前日であっても、いそいそとレッスンに出かけます。

そしてふと気づくと、もし、仕事がなくなったとしても、私はアルバイトをしながら、ときどきテニスに出かけ、帰ってきたらおいしいものでも食べて……。そんな毎日でも意外と愉快に暮らしていけるんじゃないかなどと考え始めました。

褒められなくても、生きられるようになりましょう
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大事なものがひとつしかないと、どうしてもその「ひとつ」にしがみつき、「もし、これがなくなったら……」と不安になったり、「これ」の存在価値について誰かに否定的な言葉を投げかけられただけで、どよ〜んと落ちこんだりしてしまいます。

でも「これ」がなくなったら「あれ」がある。と思うことができたなら、「固執する」という癖から解放されるんじゃないかなあと思うのです。

「この仕事」じゃなくても「あの仕事」でもいい。あるいは、仕事をしない人生もあり、という思考の幅を持つことができたとき、人はもっと自由にのびのびと生きられるんじゃないかなあ。

穴に落ちてみないとわからない

難しいのは、2本目、3本目の軸をどうやって探すのか、ということです。それはきっと「やってみる」しかない……。私はテニスを始めるまで、テニスに夢中になる自分なんて、想像もしていませんでした。

同時期に習い始めたジャズピアノは3カ月ほどでやめてしまったというのに、いったい何が違ったのでしょう?

何かに夢中になる、ということは落とし穴に落ちるようなもの。自分の意識とは別のところで、ストンと落っこちるように夢中になる……。だからこそ、穴に落ちてみないとわからないのです。

2本目の軸を見つけたら、1本目の軸を褒められなくても、きっとへっちゃらになれる。ひとつの道を極めることも大切だけれど、あたりをキョロキョロと見渡して、おもしろそうなものを探すことも、人生を分厚く楽しむコツのような気がします。

一田 憲子 編集者・ライター

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いちだ のりこ / Noriko Ichida

1964年京都府生まれ。編集者・ライター。

OL、編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立し、女性向け雑誌・書籍などの取材・執筆で活躍。暮らし、おしゃれ、仕事、人間関係、年齢の重ね方などについての、日常の中の揺らぎや気づきを丁寧にすくい取る文章で、幅広い共感を集める。

『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』(ともに主婦と生活社)を立ち上げ、イベントも開催。『最後の答えは、きっと暮らしの中にある。』(内外出版社)、『小さなエンジンで暮らしてみたら』(大和書房)など、著書多数。自身のWebマガジン『外の音、内の香』では、さまざまなコンテンツを配信。

「一田書房」を主宰し、「書く暮らし」の楽しみを伝えている。

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