よしえ(38歳、仮名)は有名私立大学を卒業後、大手企業に勤務している。年収は700万円。仕事ぶりの評価も高く、同僚からの信頼も厚い女性だった。
婚活を始めると、美人で華やかな雰囲気の彼女には、多くの申し込みが届き、お見合いも次々と成立した。会話も自然で印象は良く、交際希望を受けることも多かった。しかし、どの交際も長続きしなかった。
理由を尋ねると、彼女は少し困ったように笑いながらこう言った。
「なんとなく、ピンとくる人がいないんです。母ともよく話すんですけど、前に進みたいと思える相手に出会えなくて」
幼い頃から母親とは親友のような関係で、何でも相談してきたという。母は常によしえの理解者であり、最大の味方だった。
「年収が少し物足りないわね」
「将来性のある仕事とはいえないかも」
「もっと条件の良い人がいるんじゃない?」
「あなたは、努力して今の自分の人生を築いてきたのだから、あなたにふさわしい相手を選ぶべきだ」と、母は言う。それは命令ではなく、娘への期待と励ましだったのだろう。
人を本気で好きになれない
よしえ自身は自分を完璧だと思っていない。また、完璧な条件の男性など存在しないことは理解している。それでも交際に入ると、「何か違う」「ピンとこない」という感覚が拭えずにいた。
会話は問題なく続く。相手の人柄にも不満はない。それなのに、関係を深めたいという気持ちが芽生えないのだ。
面談の途中、彼女はふとこんな言葉を漏らした。
「私、もしかしたら……。人を本気で好きになれないのかもしれません」
冗談ではなく、自分自身への問いかけのようにも聞こえた。これまで彼女は、常に母の助言を受けながら、「正しい道」を選択してきた。進学も就職も恋愛も、不安になるといつも母に相談してきた。
そんな背景が、男性を好きになる気持ちの前に「母が認める相手を選びたい」という気持ちにつながっているのかもしれない。
今回紹介した3つのケースには、共通点がある。





















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