高条件でも結婚できない…「緩やかな支配」の正体――婚活の場で豹変、親思いの47歳弁護士がゆずらなかった"正論の刃"

✎ 1〜 ✎ 237 ✎ 238 ✎ 239 ✎ 240
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

よしき(47歳、仮名)は弁護士である。法律事務所に所属し、高齢者福祉分野を専門としていた。入会面談でこの道を選んだ理由を尋ねると、少し照れながらこう答えた。

「母のため、ですね」

高校時代に父親を亡くし、そのあとは母が遺産を切り崩しながら彼を支え、大学からロースクールまでの学費を負担したという。

婚活の希望条件を聞くと、彼は慎重に言葉を選びながら話した。

「今は母と同居していますが、結婚後は別居でも構いません。ただ、何かあればすぐ駆けつけられる距離にいたいんです」

共通する「交際終了」の理由

穏やかで礼儀正しく、職業的にも安定している彼には多くのお見合いの申し込みがきた。お見合いすれば仮交際に進むのだが、2度3度とデートを重ねた頃、女性側から交際終了の申し出が続いた。理由は共通していた。

「母親の話が多い」

「将来、お母さんの介護を担うことになりそうで不安」

「マザコンの印象が拭えない」

本人に悪気はない。ただ、母を大切に思う気持ちが会話の随所に表れ、女性たちは結婚生活のイメージを描けなくなってしまうのだった。

決定的だったのは、まさみ(42歳、仮名)との交際である。3度目のデートで親の老後の話題になった際、彼女はこう話した。

「うちの親は、老後は子どもに頼らないつもりで、施設に入る資金も準備しているみたいです」

その瞬間、よしきの表情が変わった。静かな口調ながら、強い感情をにじませてこう語ったという。

「僕は仕事で施設を多く見てきました。親をああいう場所に送る子どもの気持ちが理解できないんです」

怒りを帯びたその表情に、まさみは恐怖を感じ、交際終了を決めた。母への深い感謝は、彼の誠実さの表れだろう。

しかし婚活の場では、「親を大切にすること」と、「新しい家庭を築くこと」の優先順位が問われる瞬間がある。結婚とは、親への愛情を否定することではない。けれど人生の中心を、親からパートナーへと静かに移せることができるかどうか。その覚悟が問われる。

次ページ「大親友は母」というよしえ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事