幼児への「早期教育は正解」か?お金・学歴・海外経験なしで純国産バイリンガルの息子を育て上げた母がもらった「答え」

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しかしこの本に描かれているのは、単に子どもをバイリンガルにするためのメソッドではない。英語教育の前に、まず親子関係を信頼で成り立たせることが大前提で、選択権は全て子どもにあるーーといった、喜田さんの育児に対する揺るぎないマインドこそ、この本の重要な「裏テーマ」と言っても過言ではない。

次に紹介するのは、息子のキリ君が大学生の頃に述べた言葉だ。

「英語も算数も『勉強させられている』と感じたことは一切なかった。母とはお互いに信頼しているという絶対的な基盤があるし、自分が愛されている実感があるから自分を愛せている。とにかく今は毎日が楽しい」

喜田さんは英語教育と同時に算数教育も実践していた。その結果、高校生で国際物理オリンピックの日本代表に選ばれるほど才能が開花し、東大への推薦入試合格を果たした。大学卒業後の進路については本人のプライバシー保護のため非公開としているが、充実した日々を送っている。

『お金・学歴・海外経験 3ナイ主婦が息子を小6で英検1級に合格させた話』
著書『お金・学歴・海外経験 3ナイ主婦が息子を小6で英検1級に合格させた話』(朝日新聞出版、2014年)

先述のキリ君の言葉に、喜田さんの育児の答えが出ていると言ってもいい。

多くの親が自分の子に願うのは「好きなことを見つけ、いつも自分を愛せていて、人生を幸せに生きている状態にしてあげたい」ということではないだろうか。しかし、その思いはいつしか、「学力の高い大学(学校)に進み、社会的地位が高いとされる職種や企業に就けば、この子の幸せにつながるに違いない」という時代が作り上げた既成概念に呑まれ、幸せを願う気持ちは不安に変わり、皮肉にも子どもを幸せから遠ざける危うさをはらむ。

喜田さんがおうち英語を始めた動機は「賢い子に育てたい」という思いからだったが、決して親の期待を押し付けない形で続けることができた。誰かに育児法を指南されたわけでもなく、育児本を読み込んだりしたわけではないにもかかわらず、だ。

勉強は苦手、人に教えた経験もない

喜田さんは大阪・堺市生まれ。実家は造園業を営んでいた。

「父は、実家の植木屋をしていたかと思えばバスの運転手になったり、それも辞めて、ガソリンだか軽油だかを運ぶ仕事をしてみたり。貧乏というほどではないけど裕福でもない、という家庭環境でした。両親は『女の子は勉強しなくてもいい』という方針だったので、勉強しろと言われたこともないです。ただ、小学生の頃の私は、夏休みの宿題も残さないような真面目な子でしたね」

当時は成績も良く、学級委員も務めるタイプだったそうだ。しかし、中学校に上がった頃から徐々に勉強がわからなくなり、気づけば勉強嫌いになっていた。ある日、「私、勉強は好きじゃないし高校に行くのはやめようと思うの!」と母に伝えると、「どこでもいいから高校だけは卒業して」と懇願された。そこで、とりあえず「当時地域で下から2番目くらいの偏差値の高校」に進学したという。

「夢中になったことも特になかったと思います。部活にもほとんど入っていなかったし、運動は全然ダメ。誰かに教えるのが得意だったとか、そういう記憶も全くないです。でもゲームは得意で、ファミコンでよく遊んでいました」

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