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"万年2位"のスーツの会社が、なぜ「快活CLUB」を始めたのかー事業多角化で絶好調、AOKI流「両利きの経営」の真髄

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こうして2003年7月、複合カフェ「快活CLUB」1号店が千葉県幕張にオープンする。

2003年7月、千葉県幕張に1号店となる14号幕張西店をオープンした(写真:AOKI-HD)

「快活CLUB」は、従来のネットカフェのイメージを少しずつ覆してきた。

当時のネットカフェのイメージといえば、「暗い・汚い・臭い」という「負の3K」。女性や家族連れにとっては、足を踏み入れにくい場所だった。

これまでのイメージを払拭する空間づくりには、ファッション事業で培った強みを生かした。バリ島リゾートをイメージした内装にし、非日常を創出。完全会員制で安心感を確保する。加えて、清潔な空間と快適な滞在体験も重要視した。

この大きなイメージチェンジが耳目を集め、女性やファミリー層、シニア層の支持を得た。従来のネットカフェが若い男性客中心だったのに対し、快活CLUBは顧客層が広がっている。

快活CLUBのフロントと内装。バリ島リゾートをイメージし、落ち着いた色調になっている(写真:AOKI-HD)

1号店で手応えをつかんだAOKI-HDは、グループとして大型投資を行い、快活CLUBの成長を後押しする。

「バリ島リゾート風の内装」「完全会員制」「清掃基準」をパッケージ化。ファッション事業で培ったオペレーションを横展開させて、出店を加速させていった。

徹底したのは、グループ全体で掲げる「営業利益率10%」という基準だ。この数値を満たす店舗モデルを確立した上で拡大することで、事業としての安定性を確保した。その結果、1号店からわずか2年間で58店舗を出店。探索の実験が順調に育った。

分社独立→成長→子会社化…一体なぜ?

こうして事業として一定の規模に成立した段階で、複合カフェ事業はコート・ダジュール(当時の商号はヴァリック)へと移管される。

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さらに2年後の2007年、ついに大台の100店舗を突破する。勢いは止まらない。

そして2008年、AOKI-HDは株式会社ヴァリック(旧コート・ダジュール)を完全子会社とした。

しかしなぜ、一度分社独立させた会社を、再びグループの中へ取り込んだのか。

前述したように、新規事業を成長させるには、まず既存事業とは切り離した環境で育てる必要がある。既存の組織慣習にとらわれることなく、独自のスピード感で試行錯誤を繰り返せる土壌を確保するためだ。

そこから勝機が見えた段階で、一気にグループ戦略へと組み込む。狙いは、グループの資本力を背景とした一気呵成の出店拡大。組織の力で全国へと波及させていく。AOKIの多角化の裏側には、戦略的な経営の意思決定が積み重ねられていた。

ではどうして、これほどまでに成長軌道に乗ることができたのか。背景には、ファッション事業で長年培われてきた「ある強み」が関係している。

<後編ースーツの会社が「快活CLUB」を成功できた3つの要因ーに続く>

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