"万年2位"のスーツの会社が、なぜ「快活CLUB」を始めたのかー事業多角化で絶好調、AOKI流「両利きの経営」の真髄

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当時の年商は、約800億円。国内サラリーマン市場そのものが縮小していくことは、あらゆるデータから容易に予想できた。

「業績が落ちてからでは遅い。先を見据えて手を打つ必要がありました」(田村社長)

生産年齢人口増加が減少に転じた翌1996年、経営陣は新たな布石を打つ。

1996年以降、同社は紳士服とは異なる2つの事業を立ち上げる。

ひとつは、0〜6歳の子どもとマタニティ層を対象にした大型複合店「スーパーキッズワールド」(1996年開業)。もうひとつが、東京・表参道で開業したアニヴェルセル・ブライダル事業「アニヴェルセル」(1998年開業)だ。

左:開業当時のアニヴェルセル。右:スーパーキッズワールド(写真:AOKI-HD)

スーツは日常消費であり、主な顧客は働く男性である。一方、ブライダルは人生の“ハレの日”に関わる産業で、キッズ事業は若年ファミリー層を対象とする。

いずれも、それまでの中核顧客とは異なる時間軸、異なるライフステージへの進出だった。

「サラリーマン市場だけに依存しているだけでは限界が来ます。顧客との接点を広げる必要がありました」(田村社長)

アニヴェルセルは、ゲストハウスウェディングという新しい概念をいち早く取り入れたことで軌道に乗り、現在も中核事業の一角を担っている。一方で、スーパーキッズワールドは2004年に閉鎖している。

新規事業を撤退する条件

他にも、複数の業態が生まれては消えた。だが同社は、それを失敗とは位置づけない。

「何事もやってみなければ分かりません。成長しなければ撤退します。6カ月で辞めたり、数店舗で閉めた事業もありますよ」(田村社長)

アニヴェルセルのように成長事業を磨きながら、同時に子ども服など未知の領域にも踏み出す。その積み重ねのなかから、後にエンターテイメント事業の原型となる取り組みが生まれる。

それは、カラオケ事業だ。

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