"万年2位"のスーツの会社が、なぜ「快活CLUB」を始めたのかー事業多角化で絶好調、AOKI流「両利きの経営」の真髄
他方で、利益面では先行している。営業利益で見れば、AOKI-HDは2020年3月期にすでに逆転を果たし、業界首位に立っている。
この背景には、AOKIやORIHICAを運営するファッション事業(以下、AOKI)を支える「第二の柱」となった快活CLUBの存在がある。さらに興味深いことに、最近では快活CLUBの運営ノウハウがAOKIの店舗運営や人材配置に取り入れられるという、知見の“逆流”現象も起こり始めているという。
紳士服の本業を磨きながら、異業種のエンターテイメント事業にも挑む。この一見大胆な経営手法は「両利きの経営」と呼ばれている。既存事業の収益を高める「深化」と、新しい柱を育てる「探索」を同時に進めるという考え方だ。AOKI-HDの歩みは、その理論に当てはまる。
だが、新規事業に挑戦しながらも、思うように育たず苦戦する企業は少なくない。なぜ同社は「第二の柱」を形にできたのだろうか。同社代表取締役社長の田村春生(はるお)氏(以下、田村社長)に、その意思決定の裏側を聞いた。
労働人口ピークアウト。市場縮小を先読み
AOKI-HD(当時の商号はアオキインターナショナル)が危機感を抱いたのは、阪神・淡路大震災が起きた1990年代半ば。
当時の紳士服市場は、郊外型の量販店が全国に出店し尽くしていた。百貨店で高級スーツを仕立てる時代から、誰もが1万〜2万円ほどの低価格帯で「毎日着替えられる」スーツを手に入れられる環境が完成していた。
すでに成熟産業とされていたなかで、同社は社会動向に注目。生産年齢人口は1995年にピークを迎え、同時に就職氷河期にも突入し、スーツの着用着数も減少傾向にあった。





















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