年間1000万枚売れるNクール誕生の裏の執念、「毎晩、爽やかな北海道に帰りたかった」…「ない」と言われても探した繊維

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そんな感じのコレクターの私ですが、何と70代になってから、不思議な巡り合わせで美術館を始めることになりました。

大きなきっかけは、オークションでステンドグラスを手に入れたこと。雑誌で見た写真が色鮮やかで美しかったので、競り落としたものです。早速届けてもらったのですが、真っ黒で絵柄がよく見えなかった。考えてみれば当たり前で、陽の光に照らされてこそのステンドグラスなのでした。

写真で見たような美しいところを見られたら……と思ったのですが、残念ながら、私の家には大きなそれを飾れる空間はありません。なので、他の美術品同様に、そのまま倉庫にしまうことになりました。

そして、このドジな顚末を九州で事業を展開していた友人の経営者に話しました。「おたくにはステンドグラスを飾れそうな場所があるし、寄付するからどうですか?」と。そうしたら友人は、「北海道から運搬するのも設置するのも面倒くさいからいらないですよ」と笑い、「ご自分で美術館を作ったらいいんじゃないですか?」と言うのです。

「好き」と衝動でスタートした美術館事業が大成功

美術館……? その場ではピンときませんでしたが、しばらく考えました。

「たしかに、他にも何年も倉庫にしまったままの美術品がいくつもあるな……」

「大事にしまっておくよりも、みんなに見てもらって、喜んでもらったほうがいいかもしれない……」

「そうか! 自分でやっちゃえばいいんだ!」

かなり衝動的ですが、私の中ではこの時に「美術館を作る」と決まったわけです。

「美術館なんか儲からない」という反対の声もありましたが、思いついたからには止まりません。小樽にいい建物があると聞き、早速見に行きました。観光名所となっている小樽運河に程近いこと、港町や商都として発展した大正~昭和初期の歴史的建造物が使えることがわかったので即決でした。

旧荒田商会・旧高橋倉庫を「ステンドグラス美術館」として開業し、その後さらに1棟を含め「小樽芸術村」としてグランドオープン。まさかが本当になり、美術館を始めてしまったのです。

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