「ただの田舎料理」と批判されたが…行商を始めた主婦が《九州駅弁グランプリ5冠》の覇者にのぼりつめた"逆転劇"

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文昭さんは「包丁なんて握ったこともない」タイプだったが、今や弁当作りの主戦力。キヌサヤやバラン切り、ごはんの盛り付けを担い、嘉例川駅での販売も主に担当している。

「安いお弁当じゃないですよ。自分たちは250個とか作るけど、このお弁当を手にして食べる人には1個だから。意識して丁寧に作るようにしています」

嘉例川
嘉例川駅で販売をする文昭さん(写真:筆者撮影)

列車の来ない駅に、人を呼び込み続ける

この駅弁が特異なのは、お客さんの心の琴線に触れる弁当だということだ。「食べながら涙が出る。こんなお弁当があったんだ」と、ハガキや手紙を貰うことも多いのだという。

また取材に来たとあるテレビ局のディレクターは「肉も魚もないのか…」と乗り気ではない様子だったが、ひとたびこの駅弁を食べると「なぜ人気なのかわかった」と前のめりになったという。

しかし、嘉例川駅を取り巻く状況は年々変わっている。

2020年7月の九州豪雨の影響で八代―吉松駅間が不通になり、その影響で観光列車「はやとの風」は2022年に運行停止した。さらに、2025年8月8日の九州豪雨の影響で吉松―隼人間も不通になり、嘉例川駅は列車が通らない駅になった。現在も復旧工事は進行中で、6月の運行再開が見込まれている。

嘉例川駅
嘉例川駅(写真:筆者撮影)

一時期は客足が大きく落ちた。それでも、車でわざわざ駅弁を買いに訪れてくれる人は決して途絶えず、北海道から訪ねてきた人もいるという。そしてこの度の駅弁グランプリでの受賞。「百年の旅物語 かれい川」の存在を知り、食べたくなる人はきっとまた増えるだろう。

かつて「こんな普通の田舎料理が」と言われた弁当は、いまやアクセスが限られる山奥の無人駅へ人を惹きつけ続けている。この駅弁を求めて今週末も、来週末も、山の中の嘉例川駅を訪れる人は絶えないにちがいない。

前編:過疎の無人駅で売る弁当が、前人未到の《九州駅弁グランプリ5冠》の快挙!…素朴な田舎料理がなぜ人の心を掴むのか?
横田 ちえ ライター

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よこた ちえ / Chie Yokota

鹿児島在住。WEB・雑誌での執筆のほか、企業のオウンドメディア運営やパンフレット製作など幅広く活動。日ごろから九州を中心に全国あちこちを巡り、取材テーマを模索している。最近特に力を入れているテーマは離島や温泉。

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