「ただの田舎料理」と批判されたが…行商を始めた主婦が《九州駅弁グランプリ5冠》の覇者にのぼりつめた"逆転劇"

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「はやとの風」客室乗務員たちとの交流も思い出深い。

ある日、売れ残った駅弁を渡したところ、そのたったひとつを10人くらいの客室乗務員で分け合って試食をしてくれた。おいしさを知った彼女たちの一押しで、その後車内販売につながる。

「自分たちでこの観光列車を盛り上げようという気持ちを持った人たちで、車内販売でも熱心に宣伝してくださりました」

森の弁当 やまだ家
「はやとの風」が2022年に運行終了した際は、客室乗務員たちから手書きの感謝状が贈られた。駅弁「百年の旅物語 かれい川」は、観光列車の知名度や人気アップにも貢献したという(写真:筆者撮影)

駅弁グランプリで5冠

すぐには軌道に乗らなかった「百年の旅物語 かれい川」だが、折しも同時期に始まったJR九州主催の九州駅弁グランプリでの受賞で、徐々に注目を集めるようになっていく。

1回目は4位、2回目は3位、3回目は2位と順調に上がっていき、2007年にはついにグランプリに。さらに2008年、2009年もグランプリに輝き、3連覇の快挙を成し遂げた。

その後、駅弁グランプリの休止などもあったが、第15回、そして今回の16回でも再びグランプリを取得して5度の頂点に輝いた。同大会で5回も同じ駅弁がグランプリに輝いたのは異例である。

森の弁当 やまだ家
もう1種類駅弁「花の待つ駅 かれい川」(1800円)を作っており、こちらも九州駅弁グランプリを2度受賞。2つ合わせるとグランプリ7冠である。嘉例川駅に咲く四季折々の花の色に見立てたおかずを詰めている(写真:筆者撮影)

審査の際のJR九州の社長からのコメントで「年を追うごとにおいしくなっている」と言われたのが、山田さんにとっての励みだ。「田舎料理がこんなにご馳走なんだと気付かせてくれました」と評されたことも。「田舎料理」のままに味を磨き、ここまでたどり着いた。

最初は山田さんひとり始めたが、忙しく奮闘する様子を見て夫の文昭さんが夜勤明けの早朝から手伝うように。そこに娘さんも加わり、今は繁忙期にはアルバイトを頼んで乗り切っている。

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