戦争相手国としてイランを評価する際には、①軍事力、②人口・経済力、③国家体制の3点が重要になる。以下、順番に見ていこう。
桁違いの大国イラン
まず、軍事力だ。軍事力評価機関GFPの最新指標によれば、イランの軍事力は世界16位。中東では、トルコ(9位)、イスラエル(15位)に次ぐ規模で、現役兵は約60万人と地域最大級だ。アメリカとの差は大きいものの、注意すべき点が2つある。
・冷戦終結以降、アメリカが相手にしてきたイラク、アフガニスタン、シリア、そして、最近のベネズエラとは比較にならない軍事大国であること。
・正規軍戦力の弱点を補うため、ミサイル・無人機・高速艇といった非対称戦能力を主軸として発展させてきたこと。
特に後者は、アメリカ・イスラエルとの対立の中で、長年にわたって戦略的に準備してきたものであり、実際、この戦力は威力を発揮している。
次に、国力だ。イランの人口は、約9300万人で世界第17位。中東最大である。経済力はアメリカの制裁により世界44位にとどまるが、中東ではサウジアラビア、トルコ、イスラエル、UAEに次ぐ規模だ。
筆者は10年ほど前にテヘランを訪問したことがあるが、想像以上にインフラが整備されており、アメリカには決して負けないという意気込みからか、数値以上の力強さを感じた。こうした国力が戦争準備・遂行能力に直結する。
最後に国家体制について。
イランは「最高指導者による独裁国家」と見られがちだが、注目すべきは「イスラム国家体制の強固さ」である。
ハメネイ氏の高齢を踏まえれば、後継体制や組織的意思決定の仕組みを準備していたことは想像に難くない。政府・軍指導層に損害が出ても軍事的対抗を続けていることが、その強靱さを示している。また、国民の体制支持も欧米報道されているほど、弱くはない。
アメリカがここまであげたようなイランの実力を把握していないはずがない。
報道によれば、国家情報会議(NIC)は「軍事介入による即時の政権転換は期待できない」と分析し、大統領に報告していたという。
イスラエルからの強い要請があったとも言われるが、いずれにせよ、トランプ大統領は、インテリジェンスを軽視し、軍事攻撃に踏み切ったことになる。
政治判断にはさまざまな要素があるにせよ、冷静な情報分析を無視した決断が現実に下されることは十分ありえる。その根拠は「一撃を与えれば、政権はあっさり崩壊する」という希望的観測だ。





















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