学部で歴史を学んだAさんは研究者の道を志すようになり、院への進学のために生活費を切り詰め、奨学金をできるだけ貯めてきた。現在は大学独自の制度で授業料が免除されているほか、塾講師のアルバイトで月3万円から4万円ほどの収入があり、貯金を取り崩しながら生活している。基本的には朝から夕方まで、研究室で資料収集などに取り組む毎日だ。
国立大学の学生寄宿舎は、国立大学法人化以前から大きく2つの役割があるとされてきた。共同生活を通じた人格形成の場としての教育機能と、低廉な寄宿料設定により学生の経済的負担を軽減して教育の機会均等を図ることだ。
この役割自体は法人化後も変わっていない。経済的に厳しい状況にあるAさんは、大学院まで進学できたのは宿舎があったことが大きかったと感じている。
「ここまでやってこられたのは、支出の中でも固定費を低く抑えることができたからです。宿舎は家賃が低いことに加えて、光熱費も少なくて済みます。大学には感謝しています。読んでおきたい本を躊躇せず買うこともできました。コロナ禍に入学して、物価が上昇する時期でも安心して暮らせました」
しかし、今回の大幅な値上げは、今後の進路にも影響を及ぼしかねない。博士課程への進学を目指しているものの、必要な支援が得られなければ断念する可能性もあるという。
「博士課程の進学者が生活費も含め年間最大290万円の支援を受けられる、次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)に申請するつもりです。しかし、申請が通らない場合は、今より生活費が上がるので、就職を目指そうかと思っています」
説明会「録音禁止」「高圧的な態度」に学生が反発
筑波大では宿舎の値上げについて、1月20日に学生向けの説明会をはじめて開催した。この説明会にはAさんも参加した。すると、冒頭で大学側の司会者が、説明会の内容を外部に漏らさないように指示した。
「今回の説明会については自由で率直な意見交換を行う場としたいということもありまして、動画撮影、写真撮影、音声録音等についてはご遠慮いただきたいということをお願い申し上げます」





















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