AIトラフィック時代の通信網、ノキアとNTTドコモが描く「AIネイティブネットワーク」と6Gの現実とは
ソフトウェア化や仮想化でネットワークの柔軟性を高めることはできるが、それにも限界がある。根本的な通信性能を向上させるためにIOWN(光電融合技術)や6Gの技術開発の手を止めるべきではないというのが永田氏の立場だ。ドコモはMWCに合わせて「インネットワークコンピューティング」の実証成功を発表した。ネットワーク内に分散配置したGPUでロボットの映像解析を処理し、IOWNの光伝送技術で接続し低遅延を実現した。「Network for AI」の構想を支える具体的な一歩と言える。
同じ壁を違う側から見ている
NokiaとNTTドコモ。機器ベンダーと通信事業者という立場は異なるが、見ている壁は同じだ。
Hotard氏はプレスイベントの冒頭で、通信の歴史を振り返った。音声のためのネットワークがデータに対応し、データがリッチメディアに進化するたびにネットワークは変わってきた。通信の主役が変われば、ネットワークも変わらざるをえない。そしていま、その主役がAIに移ろうとしている。
ドコモの永田氏も同じ歴史認識を持つ。下り中心だったトラフィックは、AIがセンサーデータを送信する時代には上りの比率が大きく増える。しかもユースケースごとに求められる容量や遅延の幅が大きく、従来の延長線上で需要を見積もるのは難しい。
問題意識は共通しているが、両者のアプローチには差がある。Nokiaは「AI-RAN」という具体的な技術を掲げ、27年の商用化というタイムラインを示した。GPUを基地局に組み込み、ソフトウェア更新だけで6Gにも対応できるアーキテクチャを提案している。課題に対する解を先に見せて、通信事業者を巻き込もうとする戦略だ。
ドコモの永田氏は、解の前にまず問いの精度を上げようとしている。AIトラフィックの需要予測は幅が大きく、通信業界だけでは見積もれない。だからこそAI業界や自動車、医療といった他業界との対話を重ね、仮説を磨く必要がある。競合であるKDDIとも周波数戦略で意見交換するのは、事業者間の争いよりも業界全体の備えが優先するという判断だ。
ベンダーが解を提示し、事業者が問いを深める。この役割分担は健全に見える。ただし両者とも認識しているのは、時間の猶予が限られていることだ。6Gの商用化が見込まれる30年まであと4年。Nokiaの質疑応答でHotard氏が語った言葉が、業界全体の空気を映していた。「これは0年から5年の問題だ。だが5年後にトラフィックが押し寄せてから対応しても手遅れになる」。
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