ただしトランプ大統領自身は内心では、こんなふうに考えているのではないかと拝察する。「それでいいんだよ。戦争目的を最初に宣言してしまったら、俺は途中でTACOれなくなるじゃないか。交渉で勝つためには、こちらの手の内を明かさないようにして、『アイツは何を考えているのかわからない!』と思わせなきゃいけない。戦争という手段も、所詮は外交や関税や経済制裁と同じ、ディールのための道具のひとつなんだからさ」
「今回だって、俺が途中で『充分な成果があった!』と言えば、ちゃんと兵を引くことができるだろ。戦争目的を最初に明示してしまうと、それができなくなるじゃないか。それにしても原油価格がこんなに上がってしまうとは不覚だった。これは早期に手仕舞いにするしかない。景気や物価や株価に影響が出るんじゃ、中間選挙に負けちゃうものな~」
戦争を交渉道具とみなしている?トランプ政権は危うい
「トランプ流戦争術」とは、まさに上記のような感じなのであろう。さすがに合計5年余りもトランプ政権と付き合ってくると、だんだん発想法が見えてくるのである。
とはいえ、事ここに至るとトランプ大統領お得意の「TACO」も、なかなか通用しない。ホルムズ海峡を通過するタンカーなど民間船を米軍に護衛させようとしたり、船舶向け保険を提供する計画を打ち出したり、はたまた石油の戦略備蓄の大量放出に向かったり。ここまで来ると、いくら経済重視、マーケットにフレンドリーな大統領としても、お手上げなんじゃないだろうか。
一方で、戦場で戦う米兵たちの身になってみれば、自分たちのボスがこんなことを考えているのは、とっても心外なことであるはず。「パウエル・ドクトリン」は、兵士の身になって考えられたものなのであろう。思えばコリン・パウエル氏は叩き上げの軍人で、部下たちを愛する人であったのだ。
確かに前出の4カ条が満たされているならば、戦場で多少の不利があっても兵士たちは頑張りが効くというものだ。今回のイラン攻撃でちょっと心配なのは、米兵たちの間から「俺たちは何のために危うい橋を渡っているのか!」と怒りの声があがりかねないことだ。
「パウエル・ドクトリンなんてもう古い」という考えが今のトランプ政権内にあるのだとしたら、それはとっても危ういことだと思うのである(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら