日産「6500億円赤字」の正体 財務で診るリスクの全貌と、再起のカギとなる中国EV市場への挑戦
では、日産はここからどのように再生していくのでしょうか。私が注目しているのは、中国における電気自動車(EV)販売の動向です。
日産が中国市場向けに開発した新型EV「N7」は順調に売り上げを伸ばしており、さらには現地のような寒冷地でも安全に走行できるモデルの開発にも取り組んでいると発表しています。
「中国EV市場への挑戦」は活路となるか
この戦略は日産の活路となるのでしょうか。私は、十分に期待できると見ています。その理由は、停滞していた中国経済が弱いながらも底を打った可能性が高いからです。
これまで中国経済は、コロナ対策による供給過剰や不動産不況により低迷を続けてきました。ところが、直近の指標によると変化の兆しが見て取れるのです。中国の消費者物価は25年2月以降マイナスの水準が続いていたものの、同年10月には0.2%、11月に0.7%、12月には0.8%と上昇し始めています。つまりインフレ率が上昇に転じ、供給過剰が徐々に解消しつつあるのではないかと考えられるのです。
私はインフレ率を「経済の体温計」と捉えています。景気が回復に向かえば、給料が上がって消費が伸びることで「良いインフレ」が起こり、経済が活性化するからです。
市場もこの動きを敏感に察知しています。為替市場では緩やかに人民元高が進み、25年1月には1ドル=7.25元前後だった相場が、26年2月26日には1ドル=6.8397元をつけました。同様に株価(上海総合指数)も、25年1月は3225前後で推移していたのが、26年2月には4100まで伸びています。これらの数字は、中国経済が最悪期を脱したことを示している可能性があります。
もちろん中国経済の回復は、日産にとって強力な追い風になるはずです。中国政府はEVを含む「新エネルギー車」を重要戦略産業と位置付け、世界最大のEV市場を築いてきました。今後もその潮流が続く中、日産のEVが現地で高く評価されれば、収益を伸ばしていく可能性は十分にあります。
それとは対照的に、日本国内市場での成長には限界が見えています。国内の新車販売台数は、17年度の519万台から、24年度には457万台まで落ち込みました。人口減少と少子高齢化、さらには若年層の「車離れ」やカーシェアリングの普及により、市場そのものが縮小しているからです。
こうした社会構造の変化を考えますと、縮小する国内市場よりも、拡大していく海外市場、特に中国市場に注力する戦略は、極めて合理的であると言えるでしょう。





















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