《積水ハウス事件》「地面師」たちのまさかの"その後" なぜ大企業は狙われたのか…主犯格から届いた衝撃の手紙

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――事件を取材するのも、一苦労だったのではないでしょうか。

:複数の地面師と接触しても、皆カミンスカス操のように「自分は騙されただけだ」と否認する。それで主犯と思われる人物を尋ねては、また逆のことを言われ、煙に巻かれての繰り返しでした。

カミンスカス操によれば、積水ハウス事件は当初、融資詐欺(偽の不動産を担保に資金を借り入れること)から始まり、それから手付金詐欺(取引の本契約前に手付金だけ受け取って姿をくらますこと)に切り替える計画だったとされています。

ただ、そこでカミンスカス操は手応えを感じ、「手付金詐欺から、利鞘の大きい売買契約に移行しよう」と押し切ったと言います。つまり途中から、誰が詐欺の首謀者なのか判然としないのも、事件の全貌を掴みづらい一因でした。

不動産業界は「情報戦」

――では、どのように事件の輪郭をつかんでいったのでしょうか。

:まず被害者の取材から着手しました。被害者は基本的に嘘をつかないので、騙された瞬間や事件のキーパーソンを聞き出し、なりすまし役の実行犯や、スカウトした手配師が誰なのかを辿っていきました。

ただ、本当に重要なのはその先で、誰が指揮命令系統のトップにいて、計画を立案したのかを解明していくことです。証言や一次資料を照らし合わせながら、事実が重なるポイントを積み上げていく。そこは捜査当局と同じように苦労するところでした。

――地面師グループは、互いを欺きながらも、脆く連帯しながら詐欺を遂行していく。歪な関係性が興味深いなと。

:地面師詐欺を追っていると、不動産業界は「情報戦」であると実感します。いかに早く優良物件を見つけ、地主と接触して買い取り、より高値で転売できるかの競争になる。

つまり、詐欺を完遂するためには、情報や人材といったネットワークがものを言う。互いに疑心暗鬼になりながらも、莫大な利益を目当てに、案件ごとに離合集散するわけです。

積水ハウス事件で捕まった首謀者と手配師は、別件でもチームを組んでいたとされ、長い間共犯関係を続けていました。ただし親玉は、長らく手配師とつながっていることを、配下の人間には明かしていない。それは配下の人間が、水面下で手配師と組み、勝手に地面師集団を立ち上げられてしまえば元も子もないからです。

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