きっかけは"空き家再生のプロ"が惚れ込んだ一軒の廃墟、変わり始めた金沢の港町《4年半で30軒再生》

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そのために工藤さんは今、いろいろな仕込みを始めている。オフィスとしてだけ使ってきた建物をさまざまな用途で地域に開こうとしているのである。もともと2軒だった住宅を合築しているので全体で190㎡ほど。広く、出入り口も複数あるため、部分ごとに使えるのだ。

まず、道路に面した、これまで打ち合わせなどに使っていた部分を飲食店として使えるように改装しており、保健所の許可を経て3月3日に開業した。開店前から地元の人達が立ち飲みできる場所として勝手に集い始めていたそうで、今後もにぎわいを創出するだろう。

改修した飲食店
もともとは事務所として使っていたスペースを改装、カウンターのある飲食店に(写真:筆者撮影)

また、2階には宿泊できる部屋を作ってあり、そちらは民泊として運用する計画。

建物内にある宿泊施設部分
建物内にある宿泊施設部分。同じ建物内にあるとは思えない(写真:筆者撮影)
建物内にある宿泊施設部分
宿泊施設には檜風呂も用意した(写真:筆者撮影)

それ以外には2026年2月から1階に地元の女性がマッサージの店を出した。ひとつの建物にさまざまな用途が生まれ、人が集まるようになるのだ。

整体院に改修する前
2026年1月初旬にお邪魔した時の状況。ここが整体院になる予定を説明された(写真:筆者撮影)
整体院
2026年2月にはこの通り、整体院として開業している(写真:カラーズバリュー)

「できることはまだまだあります」

「金沢駅からは多少距離があるものの、このところ、お隣の大野も含め、欧米の人を中心に観光客も見かけるようになりました。そうした人達も視野に入れればできることはまだまだあります。

金石は全体で2000世帯くらいある広い地域で30軒再生したといってもたかが知れていますが、そこに店舗が入るようになると変化は加速するはずです」(工藤さん)

工藤さんは拠点を持ったときから“飲食は必ず金石エリア内で”を実践しており、地域の人たちと接し続けてきた。何軒か、再生した建物を見せていただいたが、それぞれに旧町名を記した看板を掲げており、それが地元で評判を呼んでいる。

旧町名を記した掲示
地元の人達に評判が良いという旧町名を記した掲示。かなり変わった町名があったようだ(写真:筆者撮影)

工藤さんの地域をリスペクトする気持ちと行動が、まちを動かし始めたのである。

中川 寛子 東京情報堂代表

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なかがわ ひろこ / Hiroko Nakagawa

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30年以上不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービスその他街の住み心地をテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に『「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)、『解決!空き家問題』(ちくま新書)など。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会各会員。

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