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ライフ #広がる新しい暮らし方 "廃居"という磁力

きっかけは"空き家再生のプロ"が惚れ込んだ一軒の廃墟、変わり始めた金沢の港町《4年半で30軒再生》

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当初は店舗というより発送拠点として考えていたそうだが、現在は自社製品のほか、珠洲市や能登町の商品も扱っている。開店が地元紙などに大きく紹介されたこともあり、わざわざここまで買いに来る人も少なくない。

自社の製品だけでなく、能登名産の品なども扱っており、ここから全国に品物が発送される。直接買いにいらっしゃる方々もいる(写真:筆者撮影)

この店があるのは金石の「こまちなみ保存地区」のメインストリートともいうべき通りで、工藤さんはこの通りに空き家が出るたび買い付けを入れてきた。

「空き家を売却しようとする人の多くはできれば残してほしいと思っているもの。壊すことを前提とする他の事業者と違い、私は必ず残すということを皆さん、ご存じなので価格さえ折り合えば買えることもあり、買い増してきました。

今回の南谷良枝商店のように、それを少しずつ、地域の人にも喜ばれる店舗などに変えていければ金石はもっと変わります。ようやく一歩を踏み出すことができました」(工藤さん)

南谷良枝商店の外観(写真:筆者撮影)

広がる人の輪、加速するまちの変化

まちの変化をさらに加速させたいと工藤さんは2025年に地元の女性を社員として雇用した。生まれも育ちも金石、でも地元が苦手でよく思っていなかったという新谷京子さんだ。

「工藤さんは縁もゆかりもない金石をどんどん活性化させていて以前からすごいなと思っていました。

私にとってはいつも誰かに見られている、干渉されているようで大嫌いなまちだったのですが、考えてみると私だけでなく、このまちは娘も息子も生まれ育ったところ。

それを嫌いだからと避け続けるのはどうなのかなと。今からでも地域を盛り上げていくために何かできるかもしれない。それで一緒に働くことにしました」と新谷さん。

工藤さんと新谷さん。地元を嫌い続けていても何も変わらないという言葉は印象的だった(写真:筆者撮影)

金石では夏に地域を挙げての祭りがあり、そのために春から地域の人たちはみんなで準備を始め、一緒になってまとまっていく。

「特に女性たちは金石なんか~と言いたがりますが、本当は好きなんでしょう。祭りで楽しそうにしているのはその証拠。そのパワーを祭り以外にも向けていけば、金石はもっと面白い場所になるはずです」と工藤さん。

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【廃墟再生から始まる「まちの活性化」】

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