東洋経済オンラインとは
ライフ #広がる新しい暮らし方 "廃居"という磁力

きっかけは"空き家再生のプロ"が惚れ込んだ一軒の廃墟、変わり始めた金沢の港町《4年半で30軒再生》

10分で読める
2/6 PAGES
3/6 PAGES

だが、金石はそうした人気のエリアではなく、認知度も低い。といっても工藤さんが自分で空き家を買って改修するようでは数を手掛けられない。そこで、何人かの親しい投資家に頼んで買ってもらい、初めの1年で11軒を再生した。

それまでの金石には空き家に目を付ける、再生しようとする人はおらず、工藤さんの活動はあっという間に耳目を集めるようになった。

「店をつくってほしい」地元の人から要望も

「改修作業中に『誰か住んでくれるのね、よかったわ』『ありがとうな』と声を掛けられることもしばしば。併せてウチの家を見てほしい、空き家になっている家があるが、どうしたらいいかなど相談も受けるように。

このエリアでも、空き家でもちゃんと手を入れれば借りてもらえる、選ばれる地域なんだという意識が醸成されるようになりました。さらにここ2年ほどは、店をつくってほしいと地元の人たちから要望を受けるようになりました」(工藤さん)

近隣にはスーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの集まったショッピングモールはあるものの、そこも含めてエリア内には飲食店が少ない。かつては寿司屋だけで3軒ほどあったそうだが、数年前にすべてなくなった。現在はカフェなども含め、数軒の飲食店が点在しているだけ。

だが、住宅と違い、店舗、特に飲食店はここで商売をしようと考える人を見つけてこなければならず、住宅再生以上にハードルが高い。住宅の再生に関してはある程度自動的に物件が集まるようになり、再生のスピードも上がってきたが、店舗となるとそうはいかない。

ようやく、1軒目となるカフェ「たまごのゆめ」が開業したのは2025年8月1日。白山市の「鶴来(つるぎ)」からの移転で、パンケーキが売りの、これまでの金石にはなかった店だ。

空き家として募集していた時点の外観(写真:カラーズバリュー)
店舗以外の部分や外観を改装、カフェとして生まれ変わった(写真:筆者撮影)
できあがった店内。当初の古びた雰囲気とはかなり異なる空気に。これまでこのエリアになかった若者や女性に人気の店になった(写真:カラーズバリュー)

次ページが続きます:
【「南谷良枝商店」の金沢支店もオープン】

4/6 PAGES
5/6 PAGES
6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象