きっかけは"空き家再生のプロ"が惚れ込んだ一軒の廃墟、変わり始めた金沢の港町《4年半で30軒再生》

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金石の路地にある、自ら再生した古民家にオフィスを構える株式会社カラーズバリューの工藤真さんは、空き家の賃貸物件化を工務店・不動産会社として手掛けている。

会社はもともとは大阪府東大阪市を拠点にしていたが、金沢への移住を希望したクライアントがいたことから金沢と縁ができた。物件や地元の工務店を探して仕事をするうちに、金沢でも古民家再生をするようになり、2021年6月に金沢に支店を出すことになった。

そこで工藤さんが物件を探し回っているときに出会ったのが現在拠点としている築150年超という古民家である。「一目惚れでした。それで自分で購入、手を入れて拠点として使うことにしました」と工藤さん。

工藤さんが再生している家
工藤さんが一目惚れしたという建物。複数の建物を合築したため、建物内は迷路のようで入り口もいくつかある。その特長を利用してさまざまな施設を入れた(写真:筆者撮影)

空き家再生が地域にもたらす可能性

金石の隣には同じく、こまちなみ保存地区である大野という地区があり、最初はそのエリアで探したが、空いている町家は多いものの、市場には出てこなかった。

金石の説明看板
隣にある大野と並んでこまちなみ保存地区となっている金石エリア。寺社なども多く点在している(写真:筆者撮影)

「金石は材木の集積・流通で、大野は醸造で栄えたまちです。大野には現在も醤油、味噌などを醸造する会社があり、空き家になってもすぐに手放さず、持ち続けるケースが多いのではないかと感じています。内々に処分されることも多いのかもしれません。結局、その後の4年半でも大野で再生できたのは1軒だけです。

それに比べると金石は物件も出てくるし、大野が300万円だとしたら、金石では同じような物件が100万円程度。一目惚れした古民家も土地50坪に古家があって350万円でした。

このような環境だと空き家再生がしやすいわけで、うまくいけば金石は面として変わるかもしれない、その可能性にわくわくして金石に注力することにしました」(工藤さん)

放置された住宅
エリア内を歩いてみるとあちこちに放置された住宅をみかける(写真:筆者撮影)
旧金石警察署庁舎
金石バスターミナルの近くにある旧金石警察署庁舎。2026年2月に国の登録有形文化財となった。栄えたまちだったことがよく分かる(写真:筆者撮影)

工藤さんの仕事は投資家に空き家を買ってもらい、それを改修、賃貸化するというもの。投資家の多くは金沢市内の、特に町家を買いたがる。賃貸にしても良し、民泊にもできるからだ。

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