【航続距離810km、10分で340kmぶんの充電】26年国内導入予定のボルボ次世代BEV「EX60」はゲームチェンジャーになれるか

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EX60と同時に発表された、悪路走破性を高めた「EX60クロスカントリー」
EX60と同時に発表された、悪路走破性を高めた「EX60クロスカントリー」(写真:ボルボ・カー・ジャパン)

ところで、メガキャスティングとセル・トゥ・ボディのメリットは比較的わかりやすいが、いまひとつ掴みどころがないのがコアコンピューティングである。

クリシュナン氏は、コアコンピューティングを採用することでEX60をSDVにできたと説明するが、SDVがもたらすメリットもまたわかりにくい。

一般的に、SDVはOTA(オーバー・ジ・エア)で車載ソフトウェアをアップデートし、販売後もクルマの価値を高められる技術と説明されるが、具体的に「どのような価値」を高めるのかという話題になると、たとえば「これまでにないエンターテイメントシステムを搭載する」といった程度の答えしか返ってこないことが多かった。

こんな例もあった。生産時に高いスペックのハードウェアを搭載しておきながら、標準状態では一部機能や性能しか使えないように“封印”。オプションを購入したユーザーのみOTAでこの“封印”を解くことで、見かけ上の機能追加や性能を高めていたのだが、この程度のことに巨額の投資が必要なSDV技術を投入するようではわりにあわない。

コアコンピューティングとSDV化の恩恵

EX60クロスカントリーのインテリア
EX60クロスカントリーのインテリア(写真:ボルボ・カー・ジャパン)

この点について改めてクリシュナン氏に訊ねると、こんな答えが返ってきた。

「EX60は、たとえば事故を起こしたとき、もしくはもう少しで事故を起こしそうになったときのデータを送信する機能を有しています。そして、ここで送信されたデータはAIシステムを活用したクラウドに取り込まれ、このデータをもとにして私たちは先進安全システムの車載ソフトウェアを改良。それをOTA経由で1台1台のEX60にインストールできます。つまり、EX60の安全性は継続して改良されることになるのです」

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なるほど、それなら巨額の投資をしてまでもコアコンピューティングやSDV化を実施する価値があるというもの。また、クリシュナン氏によれば、膨大な数のCPUを用いる従来のアーキテクチャーと異なり、コアコンピューティングではソフトウェアのアップデートに伴う確認作業が簡略化できるため、効率的なソフトウェア開発が可能になる点もメリットのひとつだという。

こうした新技術の採用により、EX60は最長810kmの航続距離と、10分間の充電で最長340kmぶんの航続距離を追加できる高速充電性能(400kW充電器を使用の場合)を獲得。さらには、同社のPHEVと変わらない車両価格も実現したという。果たして、EX60はボルボが期待するBEV普及に弾みをつけることができるだろうか。なお、EX60は早ければ26年中にも国内に導入されるという。

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大谷 達也 自動車ライター

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おおたに たつや / Tatsuya Otani

1961年神奈川県出身。大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌「CAR GRAPHIC」の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。

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