地震で怖いのは「重たい家具の転倒」だけじゃない《「本の落下」で30〜50代男性も犠牲に》死なないための対策とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

加えて、賃貸住宅には原状回復義務があるため、家具固定などの地震対策をためらう人も少なくありません。実際、防災士を対象とした調査でも、賃借人の場合は背の高い家具への対策が取られていない傾向が見られました(安藤ほか2025)。

このように、賃借人であることによって対策の方法が限定されることが、現実の困り事となっています。

背の高い家具に家具対策を実施できない理由と所有形態
防災士対象の調査でわかった「背の高い家具に家具転対策を実施できない理由と所有形態」(画像:筆者作成)
家具転倒対策で困っていること
防災士対象の調査で回答のあった「家具転倒対策で困っていること」(画像:著者作成)

賃借人のリスクが高いことを考えると、今後の地震対策としては、持ち家や賃貸にかかわらず家具対策を進めやすい環境づくりが必要です。

例えば、家具固定を認める大家に対して助成や保険制度の優遇を設けるなど、大家側にもインセンティブを与える政策が進めば、より多くの人が安全対策を取りやすくなるのではないかと考えています。

家具や落下物から逃げ場が確保されているか

今回の整理から見えてきたのは、家具の転倒対策だけでなく、落下物や住環境も含めて室内の安全を考える必要があるということです。

とはいえ、政策はすぐに変わるものではありません。まずは、ご自身やお子様の新しい住居で、家具や落下物から逃げ場が確保されているかを確認してみてください。

震度5の地震はどこでも起こります。寝ている場所の上に倒れたり落ちたりする物を置かないこと、重たい物は下の段に置くことなどは、模様替えの際にすぐに実践できる対策です。固定グッズも家具の設置前に準備しておくとスムーズです。

また、前提として住宅の耐震性が確保されていることも重要です。災害時に自宅にとどまり続けられるかどうかは、その後の生活を大きく左右します。阪神・淡路大震災(1995年)や熊本地震(2016年)では、耐震性が十分でない建物で学生が命を落とした事例もありました。こうした教訓を忘れず、住まいの安全を見直しておくことが大切です。

前編もあわせて読む↓
「あなたの部屋は本当に安全?」——大地震では家具が凶器に《見落としがちなポイントとよくある7つの誤解》
あんどう りす アウトドア防災ガイド 兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 博士後期課程在籍

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

あんどう りす / Risu Andou

兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科博士後期課程。

災害時の避難行動と防災啓発情報の影響をテーマに研究を行い、特に地震時の室内被害(家具転倒や落下物)による人的被害の実態や、証拠に基づく防災啓発のあり方の研究に取り組んでいる。SATREPS国際共同研究(日本・トルコ)にも参加。

阪神・淡路大震災の被災体験をもとに2003年より全国で防災講演を行い、乳幼児防災や日常生活に防災を取り入れる実践的な防災教育を展開。研究仲間とともに、VRやARを活用した体験型防災教育や専門職向け研修も多数実施している。2025年地域安全学会論文奨励賞受賞。

Webサイト「あんどうりすのゆるっとアウトドア防災

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事