ハリウッドが日本の"リアル"に熱視線? 映画『レンタル・ファミリー』が《日本の代理家族派遣業》に注目したワケ

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「コロナ禍以降、勃興した配信ビジネスやトランプ政権による関税政策(※1)により、映画製作者たちの視線は国外へ向いています。ファイナンス・リスクを減らし、国外の興行収益を増やそうという命題があり(※2)、この命題をクリアする意味でも、映画界は日本、アジア、ヨーロッパ、さらには世界全体に題材と興行先を求めているのです」(山口氏)

※1:トランプ大統領は外国映画のみならず、海外で撮影した自国の映画にすら100%の関税を付すると発表。各国が共同出資することでリスクヘッジしていた映画界に衝撃が走った。
※2:ドルが不安定な状況下では欧州の支援やアジア公開による興行収入は有益。
レンタル・ファミリー
オール日本ロケの本作は、さまざまな場所で撮影が行われた。写真は、外国人にも人気のある東京都新宿区の神楽坂(写真:©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)

世界でウケるのは「日本のドメスティックな事情」

山口氏は「90年代以降の国際共同制作の本格的な制度化、00年代以降の完全グローバリズム市場によって映画の地産地消が叶わなくなった。コロナ禍以降は完全に不可能になったのではないか」と語る。しかしユニークなのは――と言葉を区切って、こう続けた。

「グローバリズムで製作、公開する国々が広がった一方で、観客がウケるのは題材になった国々のドメスティックな事象でした。その国固有の事情(日本であれば“お受験”が家庭の問題になっていることなど)を観たい希望が強い。韓国内の貧富格差を描いた『パラサイト』もそう。日本で始まった代理家族派遣業を描く『レンタル・ファミリー』は、リアルな日本をハリウッド映画のテイストで表現し、全世界にエンターテインメントとして提供する、新しい試みです」

レンタル・ファミリー
名門私立小学校のお受験のために「外国人の父親」役を引き受け、面接に挑む主人公(写真:©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)

さらに、ハリウッドや映画人たちが「日本」に熱視線を送る理由は「題材だけではない」と、山口氏は続けた。

「国際的に映画の興行収益が右肩上がりを記録しているのは日本くらい。アニメなど、観客を呼ぶコンテンツは多い。例えば『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』などの作品に出資したい海外の投資家、プロデューサーはあまたいる」

題材やスタッフ、キャスト、作品のみならずエンターテインメントやビジネスの点でも「日本」は注目されている。「いま日本が熱い」に嘘はなさそうだ。

岸川 真 作家

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きしかわ しん / Shin Kishikawa

1972年長崎生まれ。山口大学人文学部中退。日本映画学校(現:日本映画大学)卒。撮影助手、出版社勤務を経てフリーに。『週刊文春』などでインタビューを手がけるかたわら『文藝』『文學界』に小説を寄稿する。

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