「僕はもう邪道中の邪道」「番組が低視聴率で思い知った」…過去の失敗も赤裸々に語る、《古舘伊知郎》71歳の現在地

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さらに古舘氏のしゃべりは続く。

「この間、僕のマネジャーに『オチもないんだけどさ、ちょっと不思議な光景を見たんだよ』って言いながら、フワっとした話をしたんです。

車の中でボーッとしていたとき、六本木の街で赤いランドセル背負った2人の女の子を見かけたんですよ。こんな赤いランドセルで盛り場のほうに行って大丈夫かなと。なんだか親心になったんです。

それから30分くらいたって2人が戻ってきたんですけど、そのときはなぜか、とにかく踊りまくっていて。多分塾かなんかの帰りに、どっちかが忘れ物をしたかなんかで、忘れ物を取って戻ってきて、楽しい話に花が咲いたのか、興奮状態で踊りながら戻ってきたのかなって。

ただそれだけなんですけど、その話をしたらマネジャーが『で、オチは?』って。いや、冒頭で言ったよね、オチはないって。でも貴重な3分を犠牲にさせたんでしょうね。やはりオチがあることで見返りがあるんですよ。時代は立ち止まることを許さない。へえ、を許さないんですよ」

アンドレ・ザ・ジャイアント『一人民族大移動』

そう言いながら笑う古舘氏だが、効率や正しさだけが求められる時代に、彼はあえて「嘘」の効用を語る。

「松尾芭蕉が中尊寺金色堂を詠んだ『五月雨の 降り残してや光堂』という有名な俳句がありますが、あれは実は芭蕉は修復中で金色堂を見ていなくて。宿に帰ってから、妄想の中で最高に輝く金色堂を思い描いて詠んだ句なんだそうです。

僕もプロレス実況で、アンドレ・ザ・ジャイアントが対戦相手を客席の10列目まで投げ飛ばした、なんてことを言っていたけど、実際は違いますよ。スイカに塩を振って甘みを倍増させるのと同じ。お汁粉の横にある塩昆布みたいなもんで、甘みを倍増させるためのフレーズっていうのは嘘なんですよ。

アンドレ・ザ・ジャイアントのことを『一人民族大移動』と言ったのもやっぱり嘘ですからね。でも、その嘘によって、彼の途方もないパワーがより伝わる。嘘が真実の大きさのスケール感を際立たせるんです。

言葉というのはそれだけ柔軟性があって、嘘つきなものなんだと思うんです。風刺もそうですよね。ちょっと大げさに言うことによって、立派な人を自分の地平まで引きずり下ろす。それが痛快なんですよね」

一方で、フェイクニュースが社会問題となる現代においては、嘘を見極める必要性を感じている。

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