「発売日ルール」のせいで"ほぼ空のトラック"が走る、出版業界の皮肉な構造とは?読者と出版社の利益が衝突する構造の裏側

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トラックの荷台
(写真:DragonImages/PIXTA)
書籍を運ぶトラックの荷台が、ほとんどからっぽ――? その裏側には、「発売日協定」という硬直化したルールと、効率化を阻む出版社・取次・書店の抜き差しならない利害対立が隠されていました。
批判の的となりやすい「勝手に本が届く」見計らい配本システムについても、書店経営者は「これがなければ営業がストップする」と、意外な本音を明かします。三方良しの解決策が見当たらない中、最新テクノロジーの導入や契約の見直しによって、出版流通の「しこり」をどうほぐしていくべきか、その処方箋を探ります。
※本稿は『書店を守れ!』から一部抜粋しています。

発売日を守る「発売日協定」をやめると……

先日、ある出版社の経営者と話していて、驚きました。「取次はからっぽのトラックを走らせている。まだコストカットできるはず」と言うのです。荷台がスカスカなのはむしろ、経営努力を極限まで突き詰めた結果なのに。

物流の原則から言えば、満載で走らせるのが理想です。けれど、日本の出版業界には「発売日協定」という厄介な決め事があり、一般的に雑誌とコミックスと文庫は「同一地区同時発売」でないといけない(一部例外あり。また書籍はおおむね同一発売ではない)。また、なるべく発売日を揃えるため、遠隔地から逆算して先に出荷します(出荷はすべて東京が起点)。そのため、需要が薄い時間帯や地域でも便を出す必要があり、その一部は「空(に近い)トラック」に見えるのです。

つまり、出版物のネットワークは「発売日を守る」というサービス品質を最優先に設計されているのです。このような硬直化したルールに縛られているなか、配送の効率を上げるために、取次は何をしているか。

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