「有酸素を長くやる」はもう古い?…脂肪を燃やし締まった健康的な体になるための《短時間・高心拍》トレの科学
脂肪を燃やすという表現は分かりやすいですが、正確には「脂肪をエネルギーとして動員し、使い、回復過程まで含めて代謝を回す」ことです。この一連の流れを引き起こしやすいのが、短時間でも出力を上げるトレーニング、いわゆる高強度インターバルトレーニング、通称「HIIT(ヒット)」です。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)については、これまで多くの研究がまとめられています。それらのレビュー研究を見ると、HIITは脂肪を減らす働きだけでなく、血糖を処理しやすくする力(インスリン抵抗性の改善)や骨格筋そのものの質を高める適応にも関わっていることが示されています。
特徴的なのは、ゆっくり長く動く運動で主に使われる「有酸素系」と、短時間に強い力を出すときに使われる「無酸素系」の、両方に同時に刺激が入る点です。その結果、筋肉では脂肪をエネルギーとして使う能力や、糖をすばやく取り込んで利用する能力が高まり、「燃えやすく、動きやすい体」へと変わっていく可能性が示されています。
脂肪を削るのではなく、脂肪を使い切れる体力へ
ここで大事なのは、「HIIT」が魔法なのではなく、体が本気になる条件をつくりやすい点です。体が本気になると何が起きるか。ざっくり言えば、
● 大筋群と体幹が連動し、全身で出力をつくる
● 回復にエネルギーが必要になり、運動後も代謝が回りやすい
といったことです。つまり、脂肪の動員条件と、筋力を育てる条件が重なっているわけです。 ここで、誤解されやすいポイントを先回りしてお話します。筋力を高める=ボディビル的に筋肉を大きくする、ではありません。もちろん筋肉量が増えれば受け皿は大きくなります。ですが本記事の主眼は「機能としての強さ」です。
見た目のサイズではなく、
● 股関節を使って全身で出力をつくれる
● 疲れてもフォームが崩れにくい
● 短時間で心拍数を引き上げられる
こうした能力が“筋力”の役割でもあります。 そしてこの筋力が育つと、脂肪は「落としにいく対象」ではなく、「使ってしまう燃料」に変わります。
ここまでの話を一本にまとめます。
● 筋肉は、燃料(脂肪)を使う受け皿(装置)。受け皿が小さく、使われなければ脂肪は残りやすい
● 筋力は、筋肉を本気で動員して出力を出すスイッチ(機能)。スイッチが入ると心拍数・呼吸数が上がり、脂肪を動員する理由が生まれる
● 高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、その条件を短時間で作りやすく、 骨格筋の適応や代謝面の改善が議論されている
● これらのことから脂肪と筋力は別々の要素に見えて、実は同じ現場で同時に変わる
脂肪を削るのではなく、脂肪を使い切れる体力へ。筋肉を見せるのではなく、筋力で動ける体へ。本当に動ける体を目指すためには、この考え方をもって運動することが重要なのです。 体を変えたい人、もう一段上を目指したい人、そして長く自分の体を良い状態にしていきたい人にとって、体力を再設計するきっかけになれば幸いです。
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