――前回大会(2023年)は日韓戦で岸田文雄総理(当時)が始球式をして、栗山英樹監督にサインボールをもらっていました。
「天皇は、いろいろな問題とかけ離れ、隔絶した存在です。天皇陛下の場合、むしろ諸外国の代表が、わざわざサインをもらいに行くほうですので、そういった意味でも、方向性がまったく逆の存在だということになります」
――1959年の最初の天覧試合では、昨年死去した長嶋茂雄が村山実から劇的なサヨナラ本塁打を打ちました。あの瞬間にプロ野球は日本のナショナル・パスタイム(国民的娯楽)になったと思います。今回も大谷翔平というスーパースターがいます。
「もちろん大谷選手もそうですが、WBC、しかも『天覧試合』の舞台で、ほかにもこんなすごい選手がいることをアピールしてほしいですね。日本だけでなく、オーストラリアの選手も、自分たちが持てる力を最大限発揮する一番の見せ所だと思います」
アメリカと緊張関係にある国のチームも参加
――鈴村先生は政治や国際情勢について見解を述べられることも多いですが、今回のWBCには、ベネズエラ、パナマ、キューバ、カナダ、コロンビアと、トランプ大統領のアメリカと緊張関係にある国のチームが参加します。
「サッカーのFIFAワールドカップも、各国のその時々の政治状況がすぐに現れます。それを取り巻く応援も影響を受けます。
同様にWBCも、各国代表は国の旗を背負って『打倒USA』を叫ぶことになる。でも、トランプ大統領から言わせれば、アメリカが平和を維持しているから、問題のある国でも参加できているんじゃないか、と自分たちを正当化するためにWBCが利用されることもあるかと思います。
昨年のワールドシリーズも、アメリカのドジャースとカナダのブルージェイズの対戦になり、カナダでの視聴率が上がりました。国別対抗戦は、世界情勢の影響をさらに受けるようになるのではないでしょうか」
――スポーツと政治の関係が変化しつつありますか。
「スポーツと政治は別物というのは理想ではありますが、実際には政治はスポーツを利用し、スポーツも政治に依存しているところがあります。でも、そういう情勢だからこそ、今回は『スポーツと政治は別物だ』という声が、これまで以上に強くなってくると思います。それでこそナショナル・パスタイムと言えるのではないでしょうか」





















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